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「デジアナ空間分譲地ビジネス」は離陸するか?(2/5 ページ)

» 2004年12月27日 16時48分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 かくして人工的に、かつ論理的に発案、開拓された6000万平方キロの「Anoto大陸」の上空約1センチから有視界飛行するパイロットから見える景色は、同じ風景が二つとない見事な分譲地として出来上がったのである。

 そして、デジタルペンは、ユーザーが文字を書き込むスピードをトレースしながら、その筆跡を地上風景である「Anotoパターン」と比較することにより、機械的に計算出来る絶対位置座標情報として、デジタルペンの内部メモリに記録蓄積して行くのである。

Anotoパターンの拡大。正規の論理交差点から上下左右にずれている。停止したペン位置で読み取れるのは6×6の36ドットのエリアだ

日立マクセルの先行販売する農耕民族型「PANモデル」

 トータル日立の「ユビキタス」プロモーションの一翼を担う日立マクセルがWeb上でコンシューマー向けに販売を開始したデジタルペン「Penit」は、Anotoパターンを、筆者のような「デジタル何でも大好きユーザー」に売り込み、将来のネットワークビジネスへの橋渡しを実現するための第一歩だ。

キャップを外すと自動的に電源が入ってReadyとなる。便利だ!

 開発者向けのデベロッパーツールキットを多少化粧直ししただけのイメージの強いパッケージには、デジタルペンである主役のダイエット前のボールペンと、A4、A5サイズのリング形式のノートブックである「デジタルノート」、システムノートサイズのビジネスメモ用紙と、ビジネスメール用紙、パソコンに転送された時のペンの筆跡のカラーや太さを一時的に設定するための「ペン・コンフィギュレーション・カード」、ペン内の充電池の充電を行うためのACアダプタや、PCへのデータ転送を行うためのUSBケーブル、アプリケーションソフト、マニュアルなどが同梱されて自宅に配送される。

専用のデジタルノートとのペアで初めて有効な活用が可能だ。

 日立マクセルがAnoto大陸のどの地方を買ったかはさほど重要ではないが、坪単価を一体幾らで購入したか、あるいはレンタルしたかはなかなか重要な問題だ。

 付属するA5サイズのデジタルノートは、使用開始に当たって、1ページ目にある「New Digital Note」のアイコン付近をデジタルペンのペン先でクリックあるいはチェックマークをつけることで使用開始をデジタルペンに教え込む。

 それ以降は、ユーザーは全部で62ページあるどのページに気まぐれに書いても、自動的にデジタルペンが何ページなのか、そのページ内のどの部分に書いているのかなど、すべてのユーザー行動を自動的に判別、処理してくれる。

 1週間前に書いた議事録に、今日思い出した重要事項を追加で書き込むことも全く問題ない。ユーザーは、ただその目的のページを開いて、追記するだけだ。先週、USBケーブルを経由してPCに送り込まれたデータに、今回は追記部分だけがアップロードされる。

 読者の皆さんの想像通り、デジタルノートでは、各ページはそれぞれ全く違うAnotoパターンが採用されているのだ。その結果、デジタルペンは、ユーザーがどこに書き込もうが問題ないだけの自由度を提供してくれる。日立マクセルは、デジタルノートの1ページだけではなく、62ページ分の土地売買契約かレンタル契約を行っているのだ。

 ただし、ユーザーが1冊のデジタルノートを使い切り、2冊目の利用になれば、再度、「New Digital Note」のアイコンをクリックし、今度は1冊目とは異なる別ファイル名でPCに保存しなければならない。そうでなければ、1冊目のデータに2冊目の相対ページの記述内容が上書きされて、かなりひどい目にあう可能性が高いだろう。

 一方、システムノートのリフィル形式を採用している「ビジネスメモ用紙」と、「ビジネスメール用紙」では、PCへのデータ転送の際に、毎回、ファイル名を変更しなければ内容の重複が起こってしまう。

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