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MSのオープンソース受け入れに疑問(2/2 ページ)

» 2008年02月25日 19時22分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK
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 だが、Microsoftは本当にそれをきちんとやっているのだろうか。例えば、Microsoftは、ネットワークプロトコルとサーバプロトコルを公開することを余儀なくされた。そればかりか同社は、オープンソース団体であるSamba Groupに自社のネットワークプロトコルを開示するという契約をSambaと結ぶに至った。

 しかし今、Microsoftが約束している内容を細かく見てみると、同社は非商用ソフトウェアを開発したオープンソースプログラマーを訴えないと約束しているだけであることが分かる。仮に、Red HatやCanonical、MandrivaがSambaを使用すれば、「従来の方針通り、特許侵害であなた方を訴える可能性がある」とMicrosoftは言いたいのだろう。

 だが彼らがそうするとは思えない。EUは既に、彼らの行動を厳しく監視している。Microsoftにとっては、特許紛争の泥沼にはまるリスクを冒すことにもなる。しかしMicrosoftはオープンソースと特許をめぐるFUD(恐れ、不安、疑念)を絶えず強調するのが好きなようだ。

 タイミングも気にかかる。Microsoftはなぜ今ごろ、ドキュメントの相互運用性に真剣に取り組んでいるなどと言い出したのだろうか。発表が行われた2月21日に何か特別な意味があるのだろうか。実は、これはMicrosoftはオープンであるかという問題がISOで審議される日の直前のタイミングなのだ。

 ボストンの法律事務所Gesmer Updegroveのパートナーで、標準問題の専門家として著名なアンドリュー・アプデグローブ氏は、今回のニュースについて自身のブログの中で次のように書いている――「この発表が行われたのが、2月25日にジュネーブで召集されるBallot Resolution Meetingのわずか2営業日前(世界の大部分では1日前)だというのは、偶然ではないと思う。今回の発表は、MicrosoftのOOXMLドキュメントフォーマットに関する議論に参加する人々に、Microsoftが実際に何を約束したのかを十分に理解する機会を与えなくする一方で、PRの面で最大のメリットを得ようというものだ」。

 あなたはどう思うだろうか。

 わたしは、Microsoftは本当にオープン標準に関して皆と仲良くやっていきたいと考えているのだと思いたい。これは嘘ではない。だが、このPRの曲芸(それが同社の発表のすべてだ)をよく見れば、そしてMicrosoftがこれまで幾度となく相互運用性の約束をしては破ってきた前歴を見れば、ほんの1分たりともそういったことを信じることはできない。

 現時点で、平和と協力に関するMicrosoftの約束でわたしが信じられるものがあるとすれば、それはSFLC(Software Freedom Law Center)のエベン・モグレン会長が起草し、スティーブ・バルマー氏の血で書かれたものだけだろう。そういったものがないかぎり、少なくともわたしにとっては、今回の約束もMicrosoftのいつものやり口にすぎないとしか思えない。

 この点をもう少しはっきりと示すために、Lolcatバージョンも紹介しておこう。これはわたしの考え方を実にうまく表現している(上から順に、スティーブ・バルマー氏――「APIを公開します」、エリック・レイモンド氏――「本当かい?」、ビル・ゲイツ氏――「訴えません」、リチャード・M・ストールマン氏――「聞きたくない」)。

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