録音データをPCで管理するなら、ICレコーダーはこう選ぶ(2/2 ページ)

» 2007年02月23日 22時13分 公開
[吉田有子,ITmedia]
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 PCでの再生に利用するソフトはWindows Media Playerが多数。理由は「Windowsのデフォルトで関連付けられているから」という単純なものだが、実は再生スピードを変更できるなど便利な機能も持っている。さらにキー割り当てなどをしたい“こだわり派”には、テープ起こし専用のオンラインソフト「Okoshiyasu/Okoshiyasu2」(2006年8月7日の記事参照)が人気だ。

 記者たちが、サンヨー、オリンパス、ソニーのそれぞれを選択した決め手はなんだったのだろうか。

「PCにダイレクト接続、MP3で録音」が決め手の三洋電機

ICR-PS285RM

 利用者が5人と最多だったのは三洋電機。特に3人のユーザーがいたICR-S250RMやICR-S270RMの後継となる最新機種が、3月10日に発売となる「ICR-PS285RM」。付属の充電池「eneloop」を使ってUSB経由の充電が可能となり、このときは約19時間のMP3録音ができる。重さは電池を含めて約49グラム。

 三洋電機製ICレコーダーの特徴は「ケーブル不要のダイレクト接続」と「録音ファイルはMP3形式」の2点だ。選択の決め手としてもこの2点を挙げる記者は多い。実際に使ってみて「ポケットに入れやすい」「電池の持ちがよい」(ICR-S250RMユーザー)といった点も評価された。

 不満点はなかったのだろうか。「録音するフォルダを選んだりするために本体横部分のシャトルリングを利用するが、操作には慣れが必要」(ICR-S250RMユーザー)という指摘があった。同社の製品ラインアップにはボタン式とシャトルリング式の2種類がある。三洋電機では「シャトルリングは慣れるまで時間が必要かもしれないが、慣れれば片手で操作できるというメリットがある。ボタン式とシャトルリング式のそれぞれに利点があるため、今後も両方のモデルを生産していく」と説明している。

「ダイレクト接続」の機種も揃え、録音形式はWMAのオリンパス

DS-50

 4人のユーザーがいたのがオリンパス。同社のPC接続モデルには、DシリーズとVシリーズの2系統があり、それぞれの最新機種はDS-50とV-50だ。Dシリーズは大型でノイズキャンセル機能を備え、再生・管理用のソフト「DSS Player」が付属する本格派。VシリーズはPCにダイレクト接続ができ、小型で手軽さを追求したタイプ。重さはDS-50がマイクも含めて80グラム、V-50が46グラムだ。

 インタビューでは、DM-10ユーザーが2人、V-40とV-50ユーザーが1人ずつ見つかった。V-40とV-50ユーザーの購入理由は、三洋電機と同じくダイレクト接続が挙がった。そのほか「マーキングに対応しているから」(DM-10ユーザー)、「軽いから」(V-50ユーザー)などだ。

本体で聞くなら

 本記事では録音データをPCに入れて聞くことを想定しているが、ICレコーダ本体で聞くことに慣れていたり、PCが手元にないときなど、録音データをICレコーダ本体で聞く場合もあるだろう。この場合は単に小型軽量であるよりも、ある程度の大きさや手になじむ形、操作しやすいボタン配置などにも気を使いたい。本体で聞く機会が多くなりそうなら、店頭で実際に握って確認してみよう。

 “本体再生重視派”のDM-10ユーザーは「質感が良く、本体で再生速度の変更がしやすいところが気に入っている。Vシリーズは小さすぎて壊してしまいそうで不安になる」と話していた。


独自の録音形式で独自プレイヤーを必要とするソニー

ICD-SX77

 ソニー製品の特徴は、独自の録音形式を採用し、PCでの再生には専用の再生ソフトが必要になること。2007年3月16日に発売する最新機種の「ICD-SX77/67」でも、独自のLPEC形式を採用している。このほか、充電池が付属し、USB経由で充電が可能になり、旧モデルと比較して音質が向上した。

 今回話を聞いた記者のうちソニーユーザーは2人。どちらもやや古い機種で、長く使っているユーザーとなった。選んだ決め手は何だったのだろうか。

 「高音質で長時間録音できるのは、2001年頃にはオリンパスかソニーしかなかった。どちらも録音のファイル形式は独自のもので、ソニーの方が小型だった」(ICD-BP320ユーザー)「2000年頃、ダイレクト接続モデルが出始める前だった。メモリースティックに録音可能で、それをPCのカードリーダーに挿して取り出せるのがよかった。容量が足りなければ、メモリースティックの予備を用意すればいい」(ICD-MS2ユーザー)と、それぞれにはっきりしたメリットを感じて選んだようだ。

 実際に使用してみて「表示モードが多彩で残り時間がすぐ分かるほか、当時から時計を内蔵していて、日付と時間からファイル名をつけてくれた」(ICD-BP320ユーザー)、「当時出ていた他社のICレコーダーも使ったが、マイク性能、電池の持ちともにこちらのほうが上だった」(ICD-MS2ユーザー)と評価している。

独自ファイル形式のメリットとデメリット

 記者に聞いたソニー製品の不満点は独自ファイル形式、専用の再生ソフト関連に集中した。「録音ファイルを他人に渡す時に、聞くためにはソニーのWebサイトから専用の再生ソフト(Digital Voice Player)をダウンロードしてください、と言うのが申し訳なくて……」「専用再生ソフトはキー割り当てができず、マウスで操作しなければいけないのが使いづらかった」。

 前述の最新機種「ICD-SX77/67」では付属のソフトでファイルをMP3に変換できるようになっており、互換性の問題を解決している。独自形式は音質とファイルサイズの小ささの両立を追求した結果とも言えるので、これらにこだわるなら独自形式を選ぶのはメリットとも言えるだろう。


各メーカー新機種のスペック一覧
メーカー 三洋電機 オリンパス ソニー
機種名 ICR-PS285RM ICR-B181M DS-50 V-50 ICD-SX77 ICD-U70
発売年 2007年 2006年 2006年 2005年 2007年 2006年
容量 2Gバイト 512Mバイト 1Gバイト 1Gバイト 1Gバイト 1Gバイト
録音形式 PCM、MP3 MP3 WMA WMA LPEC(独自方式) TRC
再生形式 PCM、MP3、WMA MP3、WMA MP3、WMA MP3、WMA MP3、LPEC MP3、TRC
録音時の音質を何種類選べるか 5種類(PCM、MP3 XHQ、MP3 HQ、MP3 SP、MP3 LP) 4種類(SHQ、HQ、SP、LP) 5種類(SXQ、SHQ、HQ、SP、LP) 5種類(SHQ、HQ、SP、LP) 5種類(ステレオHQ、ステレオ、ステレオLP、SP、LP) 3種類(LP、SP、HQ)
最高録音時間 PCM:約3時間10分
MP3 XHQ:約35時間20分
SHQ:約9時間 SXQ:約17時間25分 SHQ:約35時間25分 ステレオHQ:17時間25分 HQ:約115時間10分
録音時の電池持続時間 アルカリ電池使用時
PCM:約9時間〜
MP3 SP:約25時間
エネループ使用時
PCM:約8時間30分〜
MP3 SP:約19時間
SP:約17時間30分 アルカリ電池使用時:
最大約32時間
ニッケル水素充電池使用時:
最大約22時間
アルカリ電池使用時:
ステレオ約11時間〜
モノラル約15時間
ニッケル水素充電池使用時:
ステレオ約9時間〜
モノラル約12時間
ステレオHQ:約13.5時間〜
LP:約19時間
HQ:約11時間〜
LP:約16.5時間
サイズ(幅×高さ×奥行き) 34.2×119.7×13ミリ 31×110×13ミリ 111×37.5×16ミリ(マイク+本体) 94.8×38.2×11ミリ 30.8×119.3×14.9ミリ 30×99.7×20ミリ
重さ(電池含む) 約49グラム 約42グラム 約80グラム(マイク装着時) 約46グラム 約70グラム 約64グラム
PCとの接続方法 ダイレクト接続 USBケーブル(付属) USBケーブル(付属) ダイレクト接続 USBケーブル(付属) ダイレクト接続
必要な電池数 単四形×1本 単四形×1本 単四形×2本 単四形×1本 単四形×2本 単四形×1本
充電 可能(「eneloop」が付属) 不可 不可 不可 可能(単四形ニッケル水素充電池が付属) 不可
付属する再生ソフト なし なし 対応ソフト「DSS Player」付属 なし 専用ソフト「Digital Voice Editor Ver.3」 付属CD-ROMから「Players Tool for Windows Media Player」をインストールすれば、Windows Media Playerで再生可能。MP3への変換はできない

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