実世界とコンピュータ世界の融合――ソニーコンピュータサイエンス研究所日本全国ラボめぐり(3/3 ページ)

» 2007年05月14日 20時24分 公開
[秋元裕樹,ITmedia]
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日本語ができなくてもCSLに入社できる?

秋元 CSLに入社したい人はどうすればいいでしょうか?

暦本 公募よりも、研究員が学会やカンファレンスで見つけた人に一本釣りで声をかける、というパターンが多いですね。

秋元 希望者が応募して入社するパターンは少ないのですか?

暦本 そういう人もいますよ。海外からもコンタクトや応募があります。いろいろな所でしている研究発表の効果ですね。

秋元 日本語ができなくてもいいんですね。

末吉 CSLの公用語は英語です。ミーティングに1人でも外国人がいたら英語で話します。日本語を話せない研究員も多いですし、年に1回のプレゼンは原則として英語で行います。

暦本 CSLの採用面接では、全員の前でプレゼンをします。これまでやってきたこと、これからやりたいことを発表して、それに対して現職の研究員が判断します。

 研究にはこれと決まったやり方があるわけではありません。ネットで面白いことを提案して実現し、それを追及したいというので来ていただくというのもありです。学会や人づてで見つけるだけでなく、我々が全く知らない別の分野ですごい人、というのも歓迎します。

CSLのオフィス。写真は共有スペースで、天井をはがしてLANケーブルなどは上を通している。
内部の研究発表が行われるプレゼン用スペース

典型的な1日――「夜になってやっと集中できます」

秋元 典型的な1日はどんな感じでしょう。

暦本 朝起きると家でネットを見てメール書いたり。昼前にやっと会社に来ます。

秋元 食事はどうされてますか?

暦本 近くの店に食べに行ったりコンビニ弁当とか。研究に集中してると時間もばらばらですし、食生活はひどいかもしれません。

 午後はミーティングが入ったり、いろいろと雑事に追われますね。プログラミングしたり論文を書いたりが集中してできるのは夕方以降。そこから夕食を挟んでだんだんと集中度が上がっていって、電車がなくなってしまうので家に帰る、という不健康な毎日です(笑)。

秋元 好きなことを自由なスタイルで追求している感じですね。

20年近い歴史に裏付けられた自由と責任

 CSLは研究者1人1人に個室や実験室が与えられ、共用スペースも広々とした快適なところでした。サイボウズ・ラボも個人の裁量はかなり大きいのですが、それ以上の自由と責任が個々の研究員に与えられているように感じました。20年近い歴史を持っているのは成果を出しているからなのでしょう。それだけのすごさを感じました。

 今回紹介いただいたPlaceEngineは、参加ユーザが情報を登録していくとどんどん精度が上がるユーザー参加型のサービスです。集めたデータをAPI経由でほかのサービスと簡単に連携させられる点も、きわめて今風でWeb2.0的なサービスだと思います。位置情報や地図に興味のあるエンジニアは触ってみてはいかがでしょうか。

筆者:秋元裕樹

2002年、サイボウズの米国子会社Cybozu Corporation入社。2005年に帰国し、サイボウズの研究開発子会社サイボウズ・ラボの立ち上げに参加。現在はサイボウズ・ラボにて、主に海外オンラインサービスのリサーチを担当。社員ブログ「秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ」の運営者として「アルファブロガー2006」に選ばれる。著書に「PHP×WebサービスAPIコネクションズ」など。Webサイトマーケティングの技術面に関するコラムなども執筆している。英国・米国・ベトナムでの開発経験を持つトラベリング・エンジニア。


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