インタビュー
» 2007年07月12日 17時29分 UPDATE

達人の仕事術:リフレッシュはトイレでシコ踏み――タカラトミー「リカ旅ブログ」の乗松美緒子さん

1967年に誕生したタカラトミーの「リカちゃん人形」。2007年には生誕40周年を迎える。インターネット上でも世界へと旅に出るリカちゃんの様子が「リカ旅ブログ」が始まっている。そんな「リカ旅ブログ」の担当者、タカラトミーの乗松美緒子さんの仕事術を紹介しよう。

[泉あい,ITmedia]

 1967年に誕生したリカちゃん。女性なら誰しも手に取ったことのあるリカちゃん人形である。2007年は生誕40周年、インターネット上でも世界へと旅に出るリカちゃんの様子が「リカ旅ブログ」で紹介されている(4月10日の記事参照)。30代以上には懐かしいリカちゃんだが、ブログでは最新のファッションに身を包み、旅先で失敗を重ねながら成長するという“意外性”も楽しめる。今回は、そんな「リカ旅ブログ」の担当者、タカラトミーの乗松美緒子さんの仕事術を紹介しよう。

 40周年を迎えるに当たって、タカラトミーでは新しい現代風のリカちゃん像を模索していた。一方の乗松さんは、女の子向けおもちゃの企画やマーケティングを担当していたが、2006年10月に「リカちゃんマーケティングチーム」へと異動。元々女の子のおもちゃを手がけたいと希望しての入社だっただけに喜びは大きかったという。

 リカ旅ブログは、海外での現地ロケでコンテンツを作成している。カメラマンやライターなどの職人気質なクリエイターとタカラトミーからの要求との板ばさみも少なくない。それぞれがいいものを作りたいという気持ちがこもっているからこそ、微妙なズレも生じる。その溝を埋めるために乗松さんが重視したのは、対面によるコミュニケーションである。メールだけのやり取りは不安だ。メールを送信した後、すぐに電話を入れ、結局30分話してしまったなんてこともある。「コミュニケーションあるのみですが、携帯電話の番号を教えたのは失敗でした。24時間対応になってしまいますから」と苦笑した。

st_rc01.jpg リカ旅ブログを担当する乗松さん

手帳がないと困ります

 対面で話して決定したことは、履歴が残らず口約束だけになってしまうおそれもある。それを避けるために、決定事項はメールで送信しておく。さらに乗松さんは、メールの内容も随時手書きで手帳に書き写す。デジタルなデータだと“消えたらどうしよう”という不安が拭えない。その点、紙に書いたものは必ずそこに残るからだ。

 愛用の「能率手帳」を開くと、左のページは週単位のスケジュール。1日が1時間ごとに線で区切られている。右のフリーなページは、製図用のシャーペンでぎっしり書き込まれて隙間がない。議事録あり、付箋あり、プライベートの内容あり、仕事や生活のすべてが1冊で管理されている。大切なToDoは色を付けて目立たせる。手書きで“□”を書いてチェックボックスとして利用する。手帳という、一見アナログ的な手法にも新しい工夫を加えているのだ。

 社内、社外での打ち合わせには持参するし、退社時も必ず持ち帰る。そのため、バッグの中で負担にならないように、薄い手帳を選ぶという。数年前にルイ・ヴィトンの6穴手帳を買った時には、「すごいデキる女っぽいぞ」と喜んだが、いろんな書類を挟んでしまい結局パンパンに厚く重くなった。重くしたくないと行き着いたのが「能率手帳クレスト1」。自分では「おじさんぽくなった」と恥ずかしく思っていたりもする。

st_rc04.jpg 仕事道具。ノートPCもPHSも利用するが、最も愛用するのは「能率手帳」だという

8割の余裕が大切

 作業時間もスケジュールに入れるようにした。2007年4月に体調を崩したのがきっかけだ。それまでは、時間優先でスピードを要求される仕事でも内容に妥協を許さなかった。先方に資料を渡す際には、「これもあったら先方の役に立つだろうな」「これも付けたら分かってもらえるだろう」など、とにかくさまざまな資料を作成していた。その結果、体が悲鳴を上げたのである。休養の間に「時には仕事の完成度8割に抑えることも大切」だと知った。だから手帳に作業時間を記入するようになり、その時間内で8割の完成を目指すようになったという。

 同じ頃、笑顔が大切だということも気付いた。体調を崩していることもあり、気持ちも余裕がなかった。そういう時にムードメーカーの上司が、くだらないダジャレで笑わせてくれた。以前の乗松さんは、「そんなことより結論は?」とイライラするタイプ。しかし、休養中に初めて笑うことが大事だとしみじみ気付いた。「幸せな時に笑うのはなくて、笑っているから幸せになるというのがいいなと思ったんです。笑ってロスする時間は、何時間もあるわけではないですから。それで気持ちに余裕ができるのなら、それも必要なのかな」と笑顔を見せた。

トイレでシコ踏み

 乗松さんのワークスタイルの大部分を占めるのがコミュニケーションタイム。急な電話や打ち合わせなど、手帳には書けない“横槍仕事”も当然多い。「結局私は今日何やったっけ? と考えると何も生み出せていない。話し合いしかしていなかったという日もあるんです」と苦笑い。

 やっとデスクに座れたかと思いきや「ちょっと」と呼ばれる。デスクに戻ると、PCのメールが気になって何となくチェックしてしまう。急ぎの仕事も中途半端なままだ。こういう時は、気持ちを1度リセットする。乗松さん的気分転換のポイントはトイレだ。「恥ずかしいんですけど、トイレの中でシコを踏みます(笑)」。1日席に座っていては、体もこわばってしまうし、席では思い切ったストレッチもできない。そこでトイレで体を動かし、気分転換するというわけだ。

 時間に追われる中で、メールだけで済ましてしまい、後から「あの時直接会って話しておけばよかった」「電話しておけばよかった」などと後悔することもある。笑顔で向き合うのは、相手を思いやると同時に、相手の判断力を狂わせ、自分のペースに持ち込める力を持っているのかもしれない。

 デジタル化が進む社会で、もう一度アナログの良さを見直すこと教えてくれた乗松さん。仕事では笑顔だが、オフタイムでは意外にも、「感動したい」「泣きたい」という。愛読書は、重松清氏の著書。次々と出版されるのでなかなか追いつけないが、ほとんどの小説を読んでいる。かっこいい主人公ではなく、リアルに近いダメな主人公が好き。オフで泣いてオンで笑う。電車の中で本を抱えて涙している彼女を見つけても、そっとしておいてあげて欲しい。

st_rc03.jpg 最近のリカちゃん。リカちゃんの目線が左に寄っているのは、正面から真っ直ぐ見つめられると人間は居心地の悪さを感じるためだという
プロフィール
お名前 乗松美緒子(のりまつ・みおこ)
経歴 1998年、株式会社トミー(当時)に入社。ガールズ事業部配属後、女の子のおもちゃの企画・マーケティングを担当する。「ミルモでポン!」などのTVキャラクターの商品企画やマーケティングを担当。以後、女の子のおもちゃに約7年間携わる。2005年、販売店のサポート部署に異動し、1年間全国を飛び回る。2006年10月に現在の「リカちゃんマーケティンググループ」に異動し、現在に至る。
PC 東芝 dynabook(会社支給品)
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) ウィルコム WX310K
デジタルカメラ Cyber-shot DSC-W5
ブラウザ Internet Explorer
収集ツール(RSSリーダーなど) -
メールクライアント Lotus Notes(社内メール)
インスタントメッセンジャー -
よく使うショートカットキー [Ctrl]+[Y](繰り返し、リドゥ)
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) -
バックアップツール 随時CD-Rに焼く
検索サイト Yahoo!JAPANなど
Webメール Yahoo!メール
ブログ -
SNS mixi
ソーシャルブックマーキング -
Wiki -
影響を受けた人/本/Webサイト 重松清、曽野綾子
座右の銘 幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ
手帳/ノート スケジュール帳:能率手帳、メモ:B6サイズくらいのメモ帳
ペン シャープペン、2色ボールペン(赤黒)、携帯につけられるストラップ一体型のミニペン(絵の具の形!)はかわいくて便利
その他小物(ICレコーダ、ポスト・イットなど) ポスト・イットは手帳やらカバンやらいろんなところに入れています

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