日常で、箇条書きの文章を書いたり、読んだりする時があるだろう。そんな時、1回につき3分間、表にできないか考えてみるようにする。3分考えて手がかりも見えなければそのまま忘れてかまわないが、「ひょっとしてこういうことか?」という方向が見えたら、そこで本格的に考えてみよう。そうすることで、論理的思考能力がついてくる。それを繰り返すことで、徐々に図式化する力がついてくるというわけだ。
普段、開米さんが図解に至る方法はこうだ。まずは文章を単語に分けていき、ポスト・イットにキーワードとなる単語を書きだす。川喜田二郎氏のKJ法における、1つのデータを1つの紙にまとめる作業と似ているが、その後はまるで違う。書き出したものは、紙に張り付けて並べ替えていく。紙に手書きをすると編集しにくいのが、ポスト・イットならコピー&ペーストができるからだ。
書き出すのは短いキーワードだけにする。捨てるのを惜しまず、思いついたことは全部書いていくのがポイントだ。最終的に書いたものの約半数は捨ててしまう。使うか、使わないかは事前には分からないものだからだ。
ポスト・イットを張り付けるのに以前は机を使っていたが、考えるのにはそれなりのスペースが必要。そこで最近は、小学生が写生の時に使うようなホワイトボードを用意して、台として使っている。これなら、片付ける手間もいらないし持ち運びもできるのが便利だ。
「人の考えはツールに左右されるというのが持論です。単純なモノは頭を制約してしまいます。だから、ツールにはこだわるべきだと思います。情報を必要以上に単純化しすぎると、必要なことが伝わらなくなっていくと思うんですよ」
PowerPointで作ったプレゼン資料はどれも似たり寄ったり──。そんなふうに感じたことはあるだろうか。これが“考えがツールに制約される”例だ。開米さんはそれを嫌い、図を描くのには、ビジネス向け作図ソフトウェアの「Visio」を使っている。PowerPointではできない微調整ができ、移動が正確だからだ。
みんなが使うものではなく、自分に合ったツールを選ぶ。それをうまく表した逸話として、開米さんは次のような話をしてくれた。
『ご冗談でしょう、ファインマンさん』などの著作でも知られる物理学者のリチャード・P・ファインマン氏は、研究をする大学を選ぶ際に、マサチューセッツ大学のほうが良い設備だったにも関わらず、プリンストン大学に行った。マサチューセッツ大学の方が研究設備はよかったが、そこでは研究者が直接装置に触れることができず、エンジニアが代わりに実験していた。一方、プリンストン大学の方は、設備こそ及ばなかったものの、研究者が自分で工夫しながら設備をいじって、次々と素晴らしい成果を上げていた。ファインマン氏は、この“自分で工夫して使える”というところを評価したのだ。
「自分の道具は自分で工夫するという環境の方が、結局ペースが速くなるし結果も出ます。道具を使いこなさないで結果は出せません」
「やりたいことは何か、実現するためには何が必要かを考え、工夫すること。そうすれば必ず実現できる」と話す開米さんの言葉は、図解と同じくらい明快で分かりやすかった。
お名前 | 開米瑞浩(かいまい みずひろ) |
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経歴 | IT技術者の業務経験を通して「読み解き、考え、説明する」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。図解力、思考力、プレゼンテーション等の講師として民間企業・官公庁での研修実績多数。著書『仕事が10倍速くなる最強の図解術』(東洋経済新報社) |
PC | 自作 Windows XPの3画面PC、ノート:日本HPのタブレットPC |
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) | ドコモ P903i |
デジタルカメラ | 今は携帯のカメラで間に合わせ中 |
ブラウザ | 主にFirefox |
収集ツール(RSSリーダーなど) | ほとんど使わず |
メールクライアント | Becky! Internet Mail |
インスタントメッセンジャー | ほとんど使わず |
よく使うショートカットキー | [Ctrl]+(C/X/V/U/I/O)、[Alt]+[Tab]、 [Ctrl]+[Shift]+[K]、[Ctrl]+[Shift]+[F12]、[Ctrl]+[F4] |
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) | Googleデスクトップ、Microsoft Desktop Search、FileVisor6 |
バックアップツール | 「ばっちり同期」 |
検索サイト | |
Webメール | Windows Live hotmail |
ブログ | 自社サイトで MovableType を使用 |
SNS | mixi |
ソーシャルブックマーキング | - |
Wiki | 閲覧のみ |
影響を受けた人/本/Webサイト | 天外伺朗著『人材は「不良(ハミダシ)社員」からさがせ―画期的プロジェクト成功の奥義』、リチャード・P・ファインマン著『ご冗談でしょう、ファインマンさん』 R・P・ファインマン、ピーター・ドラッカー |
座右の銘 | 神は細部に宿る |
手帳/ノート | ただの大学ノート |
ペン | 多色ボールペン |
その他小物(ICレコーダー、ポスト・イットなど) | ポスト・イットを多用 |
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