キングジムの「ファイリング研究室」で室長を務める矢次信一郎さんと一緒に乱雑デスクをキレイにする連載「乱雑デスクのビフォーアフター」。今回のターゲットであるNPOの「シーズ」ではどのような“お片付け”になるのだろうか──。
キングジムの「ファイリング研究室」で室長を務める矢次信一郎さんと一緒に乱雑デスクをキレイにする連載「乱雑デスクのビフォーアフター」。今回のターゲットは、前回に引き続きNPOの「シーズ(市民活動を支える制度をつくる会)」だ。
前回もお伝えした通り、シーズでは扱う書類が大量だ。プログラム・ディレクターを務める田中康文さんの机も見ての通り書類だらけ。「講演イベントで使った配布資料は、後から資料請求があった場合に備えて捨てずに置いてるんです。議事録も相手が地方自治体だったりすると、保管しておかなければいけない期間が長いので……」
実施該当者 | 個人 |
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組織タイプ | チーム型(プロジェクト) |
業務タイプ | バックオフィス(企画、開発、研究など) |
業務サイクル | 相手優先 |
主な媒体 | 紙文書 |
まずは、「まずは机の上の荷物をいったん全部なくすことが大事ですね」とキングジム矢次さん。さっそく机の上から書類やら小物やらを取り除いてみた。
ガサガサ、ドサドサ、1時間ほど作業すると、小さな山のように書類が積みあがった。ざっと数えるとなんと1843部。部数で計算せざるを得なかったのは、あまりにも数がありすぎてページ数を数えられなかったからである。
最初は「捨てられる書類なんかない」と“強気”の姿勢だった田中さんだが、実際に1843部の書類を精査してみると、捨てられるものが何となく見えてきたようだ。例えば、外部のライターとやり取りした原稿である。「掲載前でしたら取っておく必要があったかもしれませんが、すでに雑誌に掲載された原稿です。取っておく必要はなかったですよね」と苦笑い。このほか、同じ書類が複数部あったケースも。1つ保管しておけば済む書類の場合は、1部を残して廃棄処分にした。
こうした精査の結果、1843部のうち廃棄分に回ったのは1544部(!)。全書類のうち83.8%に上った。やればできる! もとい捨てられるじゃないですか、田中さん。「ですね。1度でもこうした棚卸し的な作業をすることで、捨てられないと思い込んでいた書類を捨てられるんだと発見できました」
ちなみにこの精査作業では「廃棄」「共有」「個人」の3つの領域に書類を仕分けた。共有書類は266部。個人で管理すべき書類は33部にとどまった。結局、個人管理の書類は全書類のうち1.8%だったのだ。
田中さんのように、本当は不要な書類なのに必要だと思って書類を増やしてしまっている人は少なくない。もちろん、絶対に捨てられない書類は存在するし、本当に必要かどうかは、結局お片付けする本人が決めていくしかないのである。
とはいえ、“捨てるきっかけ”もいくつかあるはずだ。まずは田中さんのように書類を仕分けること。田中さんの場合、簡単に「廃棄」「共有」「個人」の3つに分類した。実作業ではさらに、分類した書類に対して「保存期間」や「廃棄条件」を決めるのも方法だ。
「書類のライフサイクル」を考えると、まずは「作成」され、「保管」することになる。保管されているうちに「活用」され、活用価値がなくなれば「廃棄」に至るわけだ。この活用価値を考えると、保管すべき期間や条件を決められそうだ。
「片付けはダイエットと一緒です。食べるだけ食べてカロリーを消費しなければ太ります。書類も溜め込むだけでは散らかり放題になりますから、不要な書類から廃棄しなければいけません」(矢次さん)。価値のなくなった不要な書類は廃棄すべきなのである。
まず、保管期間を考えてみる。例えば、公的な書類には永久保存や10年単位の長期保存が求められているものもある。「永久保存の書類は捨てられないじゃないか」という読者もいるだろう。しかし、そうした書類は果たして個人で管理すべきなのだろうか。逆に考えると、永久もしくは長期間の保存を求められている書類は、個人ではなく「共有」資産としてグループで管理したほうがいい。
個人管理の書類はその人が退職や休職することによって、管理に不備が起きやすい。個人の「管理力」に依存してしまうからだ。もし、永久保存しなければいけない大事な書類であれば、共有資産として部署やグループなどで管理するようにしよう。
廃棄条件の例はさきほども触れた。田中さんの場合は、外部のライターとやり取りした原稿を廃棄した。「すでに雑誌に掲載された原稿は保管する必要はなかった」のである。事前に「雑誌に掲載されたら廃棄する」と条件を設定しておけばいいわけだ。自分のToDoリストと組み合わせておくと、ToDo完了時に一緒に書類も廃棄できてハッピーな気持ちになるかもしれない。
さて田中さんのケースに戻ろう。1500部以上の書類を廃棄できれば、後はそれほど難しくない。机の中に書類を戻すのみ──である。
まずは鍵のかからない引き出し。ここは基本的に空きスペースにしておく。鍵がかからず、重要な書類は保管すべきではないからだ。どうしても使いたい場合は、クリアファイルや未使用のノートなどの保管スペースにするといいだろう。
鍵のかかる袖机は、下段から埋めていく。最もスペースの広い下段には、個人で管理すべき書類を保管する。使う頻度に応じて手前から入れていこう。続いて中段には頻繁に使う道具を保管する。田中さんの場合は日付印や電卓などを入れた。最後に整理した上段は、名刺やクリップ、付箋を入れている。
さて、肝心の机の上だが、ノートPCと電話機、仕掛かり中の仕事を入れておくボックスの3つのみとなった。どうですか、田中さん? 「いや〜、キレイになるもんですね」。キングジムの矢次さんもひと安心の様子だ。
あとは、これを維持できるか、ですね。「基本的には、毎回大掛かりなことをやらずに、こまめに捨てられればベストです」。なるほど、Biz.IDの「シゴトハック研究所」でも同じ“研究結果”になってます。「席に着くたびに1つ、席を立つたびにまた1つ片付け」られるとベストですね。
今日から始まった新連載「乱雑デスクのビフォーアフター」では、整理整頓が苦手な方を募集しています。場合によっては、“ファイリングの達人”であるキングジムの矢次信一郎さんがコンサルティングいたします。
なお、コンサルティングの様子はBiz.IDにて掲載させていただきますので、ご了承下さい。写真や動画を撮影させていただく場合がございます。ご希望の方は、以下のフォームで必要事項をお送り下さい。
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