第15回「外出先でもご用心」研修で教えてくれない!

駅で電車を待っていたらケータイが鳴った。「いつもお世話になっております。その件は、先日お話したように△△を××円で──」「お前、ケータイの話し声、大きすぎるぞ」

» 2007年09月20日 18時34分 公開
[山賀正人,ITmedia]

 大手総合商社・メデア商事の新人・小林ケンタは、営業3課の先輩・高柳ワタルと客先に出向く途中の駅で電車を待っていた。すると小林のケータイが鳴った。取引先からの電話のようだ。

小林 小林です。いつもお世話になっております。あっ、その件は明日お見積もりを持って伺います。先日お話したように△△を××円で。はい、了解しております。それでは明日伺いますので、宜しくお願い致します。

 小林が電話を切ると、高柳が気になる様子で話しかけた。

高柳 その感じだと○○社の○○さんみたいだな。

小林 はい。几帳面な方で、改めてまた金額を確認してきたんですよ。

高柳 そうか……。ところでお前、ケータイでの話し声、大きすぎるぞ。

小林 えっ?

 駅のホームや街中で仕事上の話をケータイで話している人をよく見かけるが、人ごみで電話すると、周りの騒音から声が聞こえづらくなる。相手の声が聞こえないとこちらの声も自然と大きくなり、ついつい大声で話しがちだ。

 大声で話すような環境下で、不用意に業務上の機密にも当たりかねない情報をつい口に出してしまうケースがある。周りの人が聞く気がなくても、しっかりと聞こえてしまっていることが多い、つまり「誰が聞いているか分からない」状態なのだ。

高柳 お前、さっきの電話で「△△を××円」なんて言ってただろ。しかも大声で。

小林 あっ!

高柳 まぁ、お客様の会社名は言っていなかったから、まだいいようなものの、あのまま会話を続けていたら、お客様の名前だって大声で言いだしかねない感じだったぞ。

小林 スミマセン……。

高柳 会社の外でケータイで話をする時は、特に話す内容に注意する必要があるんだ。どうしても機密に関わるような内容を話す必要がある場合は「会社に戻ってから折り返し電話する」と言えばいい。

小林 なるほど……。

 しばらくして電車がホームに入ってきた。席が空いていたので、小林は席に座るとおもむろにPCをカバンから取り出し、メールのチェックを始めた。

高柳 小林、PCの画面が横から丸見えだぞ。

小林 えっ?

 電車の車内などの会社外で、ノートPCなどを使ってメールのチェックや文書作成などの仕事をしている人をよく見かける。画面に集中するあまり、周りからの視線に無頓着であることも多い。

 特に多いのが、液晶画面が隣の席からも画面が丸見えになっているケース。どんなにPC本体を「セキュアに」管理していても、このように脇から覗き見放題の状態では何の意味もない。業務で用いる携帯端末の画面には覗き見防止のフィルターを貼るようにしよう。

高柳 これって、元々持ち出し専用のPCだよな……。だとしたら最初からフィルターを貼っておけばいいのに……。デフォルトでフィルターを貼るように、情報システム部に言っておくか。

ThinkPadの場合、右上の[Home][End]キーと[Fn]キーを組み合わせることで輝度を調整できる

 もし会社で支給されているノートPCにフィルターが貼られていない場合は、貼ってから支給するよう情報システム部などに働きかけるのも良いだろう。すぐにフィルターが手に入らない場合は、ノートPCの液晶ディスプレイの輝度を最低限に下げてみよう。

 それでも気になる場合は、作業しているアプリのフォントカラーなどをわざと“見えにくい色”に調整するといい。例えば「秀丸エディタ」の場合、白地に灰色の文字や、黒地に緑色の文字を設定するのだ。さらに気になる場合は、フォントサイズを小さくするのも有効だ。ただし、やりすぎると作業もしにくくなるのでバランスを考えながら調整しよう。


初期状態の「秀丸エディタ」
白地に灰色だとさすがに読みにくい
フォントサイズも小さくすると、より“効果的”だ

著者紹介 山賀正人(やまが・まさひと)

セキュリティ関連の話題を中心に執筆中のフリーライター。翻訳(英語、韓国語)やプログラミング、システム構築等コンサルなど活動は多岐に渡る。JPCERT/CC専門委員。Webサイトはこちら


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