第2回 プレイヤーとマネージャーの違い今さら聞けないマネジメント&コーチングの基本(2/5 ページ)

» 2008年03月19日 14時00分 公開

プレイヤーのスキルをマネジメントで使ってはいけない

 ここまでは、部下のマネジメントにはコーチングが効果的だということ、結果を出せるマネージャーは、結果を出せるプレイヤーとは違うということをお話しました。ここからは、では具体的にマネージャーはどのように部下と対話していけばいいのかをお話しましょう。

 マネージャーには姿勢とスキルの両方が必要です。

 姿勢とは、相手がどうなりたいと思っているのか、相手が何をしたいと思っているのか、ということに好奇心を持つ姿勢のことです。「この人は何を目指しているんだろう」と好奇心を持ちながら対話をしなくてはいけません。上司のほうから「キミはこう思っているんだろ」「ここはこうだよな」と、決めつけるような姿勢ではダメです。好奇心を持って話を聞くことです。

 さらに、好奇心を持っていても「この人の中に答えがある」という確信がなければいけません。打てば響くような答えが返ってこないとしても、「だから全部オレが教えてやらないと」と思って、指示型になってはおしまいです。好奇心と、相手の中に答えがあるという確信の、2つの姿勢が重要です。

 この姿勢は非常に大切です。しかし姿勢だけではダメです。対話にはスキルも必要です。スキルといっても、プレイヤーが必要とするスキルと、マネージャーが必要なスキルは全く違います。

結果を出せるプレイヤーの「説得スキル」

 例えば、セールスマンがお客に商品を売る場面を考えてみましょう。A保険とB保険がありますが、お客さんがどちらを望んでいるかは別として、セールスマンはA保険を売りたいと思っています。できるセールスマン(プレイヤー)はそういったことが可能です。それには、以下のような質問をします。

セールスマン 今、B保険を契約してらっしゃいますが、過去に何かうまくいかなかったこと、ありませんか?(過去のマイナス点を聞く)

お客 そうですねえ……前に請求したことあるけど、思ったより戻ってこなかったのよね。

セールスマン 今、B保険でお困りなこと、ありませんか?(現在のマイナス点を聞く)

お客 もうちょっと保険料が安いといいんだけど……

セールスマン では、将来的にも心配ですか?(未来のマイナス点を聞く)

お客 このままだと家計に響くわよね〜、これから学費もかかるし……

セールスマン それで、こっちのA保険なんですけど……。過去に、これに似たような保険を契約されて良かったこと、ありますでしょう?(過去のプラス点を聞く)

お客 一時金が戻ってくるとうれしいのよね。

セールスマン 保険料もBとほとんど変わりませんよね。(現在のプラス点を聞く)

お客 そうね、ウチだとちょっと安くなるのかしら。

セールスマン 将来的にはこちらのほうが安心でしょう?(未来のプラス点を聞く)

お客 そうね、戻ってくる金額も多いし。

セールスマン ご近所のみなさんでも、このタイプの保険にされている人、多いでしょう?

お客 ええ、結構いいと言っている人がいて……

セールスマン なるほど、そうだったんですね。


 このお客さんは、「AとBと、どちらがいいと思いますか?」といわれると、当然、Aを選びたくなります。これは「Yesセット」の応用です。プレイヤーは、最終的にお客さんにYesといってもらわないといけませんから、こういったスキルが必要です。

 ところが、部下指導でこれをやってはいけません。

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