第5回 すぐにできる「簡易コーチング」今さら聞けないマネジメント&コーチングの基本(2/2 ページ)

» 2008年03月26日 16時16分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
前のページへ 1|2       

部下 今週は5本しか取れなかったので、来週は10本取ります!

上司 どうやって5本を伸ばすの?

部下 必死でがんばります!

 これではダメです。結果に影響を与える具体的な行動、アクションを、必ずここで話し合ってください。例えば、今まで飛び込みばかりやっていたけれど、まず電話をかけてみるとか、人脈のある○○さんを訪ねて、紹介を狙ってみます、というような具体的な行動です。「それはどうかなぁ」と思っても、「それで10本取れると思うんだね。じゃあ、それでやってみよう」とやらせてください。そして次の週の面談で、今週はどうだった? 次の週はどうする? と、また聞いていきます。

 これは一番簡単でオールマイティーなコーチングです。質問は4つと少ないので、上司が覚えて10〜15分、直接聞いてもいいですし、あらかじめ紙に書いてきてもらって、それでディスカッションしてもいいのです。上司部下の関係のあり方、社風によって選んでください。

 どちらにしても、話すことが重要です。書くだけだと、部下が「ただでさえ報告書が多いのに、またなんかやらされるよ」という気分になります。また「はい、書きました」で終わってしまう人もいます。場合によっては、シートを部下に渡して「書かなくてもいいから、考えておいて」というのでもいいですね。

バランス感覚を持ってコーチングする

 コーチングでは、「キミはどう思うんだい?」と、部下の考えを聞くことと、「私の意見はこうなんだけど」と自分の考えを言うことのバランスが大事です。

 あくまでも最初は、「キミはどう思うんだい?」と話を聞いてください。そして、「なるほど」と思ったらやらせますし、明らかに違うと思ったら、私メッセージです。

 私メッセージに部下が納得すればそれで進めますが、反論したら「どうしてそう思う?」と聞き、「じゃあ、それをやってみよう」とやらせます。そこでカチンときて、「何を言ってるんだよ、分かりもしないくせに。これはこうなんだよ!」と上司がやってしまうと、確かにその場は収まり、瞬間的な結果も出ます。上司は「ほら、オレが言った通りになっただろう。オレの言う通りやればいいんだ」と思いますが、部下は伸びませんし、やる気も出ません。そこが機械と違うところです。機械の場合、正しいインプットであれば、イライラしながらボタンを押しても、ゆったりした気分でボタンを押しても、同じ生産性になります。しかし、人間は違うのです。

ks_hiramotobook.gif

ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ