レビュー
» 2008年04月22日 16時13分 UPDATE

5分で読むビジネス書:あるべきものはすべてそろっているか?──『できる人の直感力』

あなたは直感力を持っていますか? 直感力とは大事なシグナルを事前に受け止める知覚力です。直感力を意識させるだけでなく、それを研ぎ澄ますための手法も提案する一冊。

[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

佐々木正悟 『できる人の直感力』(ビジネス社刊)

 多くの人は、「後から言われてみれば」大事なシグナルがあったということは分かるわけです。ただ、「事前にそれに気づく」ことは非常に困難、ないしは不可能というわけでしょう。

 そこで本書では、「大事なシグナルを事前に受け止める方法」についてお話ししたいと思います。それは、アイデアの発想であろうと、新しい発明であろうと、危険の回避だろうと、一般に直感的とされる事件についてならば、例外なく応用可能な方法です。それは、ごく普通の人にも可能な方法です。というのも、私たちの心には「直感する能力」が実際に備わっていて、その働きのおかげで重要なポイントを見抜くことができるからです。(p.23)


2

 本書に書かれていることを一言でいえば、必要に応じて直感力を発揮する方法だ。そもそも、直感とは何か? そして、直感力を発揮するとはどういうことなのだろうか。1つ1つ見ていこう。

 著者によると、直感は次のように定義される。

 「直感とは重要なポイントを見抜く力、少し狭く言うならば、転換点を見分ける知覚力です」(p.12)


 言ってみれば、ある種のことを見逃さずにキャッチする力ということになるだろう。これを説明するために次のような具体例が挙げられている。

  • コカ・コーラ
  • 携帯電話
  • ウォークマン
  • iPod

 いずれもすでに開発され、広く受け入れられている商品ばかりだ。ここで、これらが存在しない世界というものを想像してみてほしい。それは「あるべきものが、ない世の中」であり、そこには「あるべきものをもたらす余地」があることに気付くはずだ。

 その余地を満たすにはどうすればいいか。ここで発揮されるのが直感力だ。現実という慣性に逆らって、まだ存在しないものを「あるべきだ」と想像し、「なぜないのか?」という疑問を抱き続けることで、直感力は発揮されるという。

 こうして見ると、直感力とは、直接鍛錬できる筋力とは違い、それを覆っている何かを取り除くという間接的な働きかけによって研ぎ出すものといえるだろう。

 本書ではそのための具体的な方法が豊富な事例とともに紹介されており、直感という、一見するとのっぺりとしていてつかみどころが欠ける概念に探求の触手を伸ばし、その実体に迫っている。さらに、これを磨いていくためのサンドペーパー(紙ヤスリ)も提供している。

 “サンドペーパー”の例としては、次のような項目が挙げられている。

  • 人や会社をよく観察する
  • 本のタイトルから内容を想像する
  • iPodのシャッフル機能を使うのをやめる
  • 相手によって態度を変えない
  • 失敗体験を記録し、問題の解決法を発明する
  • 転職を待遇や条件で決めない
  • リスクを確率で判断しない
  • 消去法で結論を下さない
BOOK DATA
タイトル: できる人の直感力
著者: 佐々木正悟 著
出版元: ビジネス社刊
価格: 1365円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: 人とかかわる仕事についている人すべて。

 いずれも、普段から実践しているものもあれば、意外なものもあるだろう。いったい、なぜこれらが直感力を磨く上で役に立つのだろうか? もちろん、答えは本書に書かれているのだが、その前に想像力を駆使して考えてみてほしい。そうすることで、答えに直結するしないにかかわらず、今まで見逃してきた何かに気付くかもしれない。

 本書で紹介されている、持ち前の直感力を駆使して偉大な成果を上げている人たちは例外なく、答えのないところで試行錯誤を重ねている。それは「けものみち」を素足で行くようなものだろう。舗装された「高速道路」を行く多くの人が見過ごしてしまう兆候を彼らは見逃さないのだ。

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