コツは呼吸と半眼、“カンタン座禅”でいつでもどこでも集中する「早起きは三文の得」実行委員が行く(2/2 ページ)

» 2008年04月24日 14時38分 公開
[豊島美幸,ITmedia]
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足も手も体もなくなったような感じ。最後に残るのは、呼吸している感覚だけ

床にじかに座らず、クッションや座布団を敷いたほうがラクだ

 「ひとおおおお……」。寺前氏が声を伸ばすと、参加者がそれに合わせ、鼻からゆっくりと息を吐く。次に声が尽きたところで、心の中で「つ」と短く唱えながら息を吸う。そして再び長く吐いて短く吸って……という行為を繰り返すのだ。

 この呼吸のリズムが、3つの約束で最も大事だという。「呼吸している、ということに意識を集中させてください」。言われた通りやってみると、だんだん集中力が高まっていくような感覚がした。個人的に腹式呼吸に慣れていることもあるのか、これは思ったよりたやすくクリア。

 逆に難しかったのが、目を半開きにする半眼というもの。筆者も仏像にこうした半開きのものがあるのは知っていた。でもパッチリと目を開けてもいけないし、閉じてもいけないのだ。見るとやるでは勝手が違う。

 困った。半開き具合が感覚として分からない。目に意識を集中させると、上まぶたがぷるぷると震えてくる。するとその震えがむしょうに気になり、よけいに目に意識と神経が集中しすぎる悪循環に陥ってしまう。

 試行錯誤の末、半開きまで目を開けるほうが、閉じるより力が入ってしまうことに気づいた。そこで連日の深夜残業と早起きで強い睡魔に襲われていたことを思い出し、自然に半開きになるようにまぶたを落とすことに。……うん、なかなかいい。これでようやく“成功”したかもしれない。

会場は丸の内カフェ。図書館風のカフェが、和の空間へと変わった

 本格的な座禅では、線香が1本尽きるまでのおよそ40分間行うのが1回の目安。ただ自分で実践するときは、「5分でも20分でも、自分の好きなだけやってください」(寺前氏)。

 寺前氏によると、やり始めはすぐ足が痛くなってしびれていた。何度も続けるうちに手の感覚がなくなり、足の感覚がなくなり、体自体の感覚がなくなって……しまいには「呼吸だけの感覚になった」という。

 今回の座禅は5分間と10分間の2回だった。足がしびれるほどではなかったが、もう少し長く座禅する場合は、足のしびれにも慣れないといけないことになる。「呼吸だけの感覚になる」になるには、やはり何度も実践して慣れる必要がありそうだ。

「諦める」とは「明らかにする」こと。「諦めるとラクになる」

 座禅を終え、靴下を履きながら出勤準備をする男性に感想を聞いた。すると「リラックスできて気持ちよかったです。体に力を入れていなかったから血流がよくなった気がします」と、スッキリした表情を見せた。

 「続けることに意味がある」(寺前氏)座禅は、冒頭でもあるように論理思考でいっぱいの日常をいったん切断するスイッチの役目を果たす。なぜ切断する必要があるのだろう。

 ビジネスの社会では、「○○だから△△だ」となんでも論理思考で物事をとらえがちだという。でもいくら説明しようと努力しても、説明のつかないこともある。例えば「諦める」という言葉がある。これは元々「真実を明らかにする」というのが意味の言葉だった。日常生活では、忙しさのあまり目の前にある事実にこだわって本質を見失いがち。そのため無駄に努力して諦めきれないこともあるのではないか。

 でもそんなとき、座禅を使って論理的思考を止めれば、言葉を使った理屈ではどうしようもないことをどうしようもないこととして「諦める」=「明らかにする」ことができる。「諦めると、生きていくのがずいぶんラクになる」そうだ。

 呼吸と半眼ができる環境なら、いつでもどこでも実践できるというカンタン座禅法。日常生活に取り入れれば、集中力を高めてくれるだけでなくラクにもなるのなら、生きていくのが今より楽しくなるかもしれない。

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