そんなに重い荷物を持ってどこ行くの? 海外出張に「プリンタ」編樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

海外出張に、かさばるプリンタを持って行く人はそれほど多くないだろう。実は、筆者はプリンタを持って行く派。小型のカラープリンタを海外に持参することが多い。プリンタは講演や学会で活躍する“多目的戦略機器”なのだ。

» 2008年05月01日 20時39分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 海外出張に、かさばるプリンタを持って行く人はそれほど多くないだろう。実は、筆者はプリンタを持って行く派。小型のカラープリンタを海外に持参することが多い。現在はキヤノンの「PIXUS 50i」を梱包ケースごと持ち歩く。

梱包ケースに本体、電源アダプタなどを入れて持ち運ぶ。A4用紙も忘れない

海外にカラープリンタを持って行く理由

 プリンタは多目的戦略機器だ。講演や学会の資料配布以外にも利用できる。オススメなのは、カラー写真の“ほとんどリアルタイム配布”である。

 数十人規模での学会で、初日の夜の懇親会。終了間際に「みんなで写真を撮りませんか」と事務局に申し出る。「おう、撮りましょう、撮りましょう。集まって、集まって」となる。

 日本では一般的な集合写真も海外ではきわめて珍しい。海外でもデジカメを持っている人は多く、三々五々に撮影しているが、集合写真は珍しく、日本的なものなのかもしれない。

 ワイワイ、ガヤガヤ、ニコニコしながら、並んで写真を撮るとなれば、筆者は三脚にデジカメを取り付けて撮影の準備。ほかにもデジカメを持っている人もいるが、とりあえず、筆者のデジカメで撮影する。タイマーをかけて、「チーズ」とか「バター」とか言って、「もっと笑いましょう。手を上げましょう」とみんなの顔を緩めるのも重要だ。

 こうして何枚か撮影して、部屋に持ち込んだプリンタで印刷するのだ。A4サイズのフォト印刷用紙を使う。これが実にきれい。あくる朝、事務局の責任者にこの1枚をプレゼントすると仰天する。L版でも2L版でもない。巨大なA4サイズの立派な集合写真だ。事務局は、さっそくその写真を講演会場の入口に張り出す。

 写真の下に「この写真をご希望の方は、ミスターヒグチの公式サイトを通じて連絡してください。学会名をメールのタイトルに入れてください。ミスターヒグチが写真を添付で送るそうです」と、アイデアマラソン研究所のWebサイトをURL付きで書き込んである。

 この写真を見て、ほとんどの参加者が筆者の公式サイトをメモに書き写していた。もちろん、メールでリクエストがたくさん入ってきたことは言うまでもない。メールが送られてくれば、筆者は簡単に返信できるわけだ。こうして付き合いが一挙に増えるのである。

 場合によっては、A4のほか、B5や2L版のカラー写真を渡す。少人数の会合であれば、プリントアウトした写真そのものに、参加者全員がサインを書き入れる。これがいい記念品になるのだ。

 数年前、米国人や英国人の友人夫婦と一緒にカリブ海の船旅を楽しんだ。夕食の写真をA4サイズで印刷して配ったら、本当に喜んでいた。ビジネスだけでなく観光旅行でも知り合うことが多いので、モバイルのカラープリンタは役に立つ。まさに“思い出作り専門家”と言えるのではないだろうか。

帰国後の出張報告を“出張先”で渡す

 思い出作りだけでなく、実用的な使い方も紹介しよう。講演にせよ、学会にせよ、事前の準備以外に、当日の参考資料を修正したり、追加したりすることはよくある。ホテルの部屋でぎりぎりまで配布資料を検討することもしばしば。出席者や参加者など相手の様子を見ながら、PowerPointと配布資料の内容を調整する。

 もちろん通常は書類をデータで作成し、メールに添付して事務局に送付する。当日は、事務局に必要部数の印刷を頼むのが一般的だ。だが、会場では事務局が忙しく、資料作成の時間がぎりぎりになることが多い。

 そんな時、小さくてもプリンタがあると便利だ。自分の部屋でプリントして、事務局にはコピーだけを頼むか、本当に事務局が忙しい時は自分でコピーまでしてしまうこともある。だから筆者はA4用紙も数十枚持ち歩いている。

 会合が終わった数時間後に会食が予定されている時は、会合が終了次第、急いで部屋に戻る。議事録を作成するためだ。印刷し、会食持に相手に配布する。遅くても翌朝までには渡せるようにしていた。同行したメーカーの人に、帰国後の出張報告を“出張先”で渡すこともあった。これぞ短い海外出張で、強く印象を残すコツ。ビジネスの機動力とでも言えるだろう。

 ある時、国内で1泊2日の幹部研修があった。グループで研修を受けて、研修内容もグループで競い合うという内容だ。この時、筆者はプリンタを持ち込んでいた。1日の研修内容を議事録式に作り上げ、重要部分に赤印を入れて、夕食後に同じグループ内に配布した。目を通すよう伝えておいたら、翌朝一番に前日の内容の試験があったのだ。

プリンタの持ち運び

左がPocketBook 30i、右が愛用のPIXUS 50i

 筆者の使っている50iだが、これには電源アダプタやインクカートリッジのスペアを持っていく。怖いのは故障。中央部に異常な圧力が加わったのか、ボディが少し歪んだだけで使用できなくなり、修理したこともある。持ち運び時は服で包んだり、ウレタンやプチプチで包んだりしたが、修理以来、大きくなるが購入時の梱包ケースに入れて持っていくことにしている。

 先週、「もっと軽量小型のプリンタがほしい」と書いたら、さっそく親切な読者が、ペンタックスのモバイルプリンタ「PocketBook 30i」を紹介してくれた。ありがとう。

 感熱紙を利用するタイプでカラーではないが、電池を含めないものの重さは約400グラムと筆者の要望にドンピシャリ。1回の充電で70枚ほど印刷できるという。これをさっそく発注し、旅行先や出張先の文章作成用プリンタには、今後PocketBook 30iを使うことにした(だがやはり、小型軽量のA4「カラー」プリンタを作ってほしい……というのが本音だ)。

 次週は、海外防犯装備について説明したい。

今回の教訓

ミスターヒグチ、ピクチャープリーズ?


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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