職場での「心の健康管理」貢献に期待――「メンタルへルス・マネジメント検定試験」もう大丈夫、あなたを救う「うつ対策119番」(2/2 ページ)

» 2008年05月15日 13時50分 公開
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知識の輪の広がりがメンタルヘルスケアの基盤に

 この検定試験は、定期的に全国の都市で実施する「公開試験」と、企業ごとに行う「団体特別試験」の2形式を採用している。公開試験は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7会場で実施。今年は横浜と高松でも開催するなど、今後も全国へと拡大していきそうだ。また、団体特別試験を検討する企業も増えているという。こうした数字の伸びは、メンタルヘルスケアに関する必要性の高まりと比例しているといっていいだろう。

注:I種試験は第1回、第3回のみ実施 ※資料提供:大阪商工会議

 実際、メンタルヘルスケアの知識を高め、心の健康管理の一環としてこの検定を活用する企業は増加している。公開試験を例に取れば、受験申込数も検定スタート時から今年3月までのわずか1年半足らずで、1.5倍近くになっている。

「受験者数を増やすことは本来の目的ではないものの、うれしい数字です。これからもこの検定をメンタルヘルスへの関心を高めたり、勉強するきっかけにしてほしいですね。そして心の不調に悩む人を少しでも減らすことにつながれば、と考えています」と担当者。

 増加する検定試験受験者の中でも目を引くのが、部下たちの心の病気や不調を予防したり、早く気付きサポートするラインケア(II種)の役割を担う管理職者たち。これは社内のメンタルヘルス・マネジメント能力の向上を目指し、企業が受験を奨励するケースが多いことも大きな要因だろう。合格すれば受験料は会社が負担する、奨励金を出すといったケースも珍しくないようだ。

 また、職場全体の活性化などを目指し、III種の受験を奨励する企業も着実に増えている。今までストレスを自分だけで抱え込んでいた人も、メンタルヘルスケアの知識を持つと、人に相談できるようになるという。早期にSOS発信をしてもらえば、周囲はすぐサポートすることができる。この好循環は、企業にとって大きなメリットとなるだろう。

 合格率は昨年秋に実施した検定試験の場合、II種、III種ともに、60%以上をマーク。ただI種は、難易度が高く約15%にとどまっている。

合格者が中心になり心のケアを充実させる

 ところで、「メンタルへルス・マネジメント検定試験」の合格者たちはどのような活躍をしているのだろうか? 担当者によると、合格者の中でも特に各部署の管理職者たちは、日常業務の中で、そのメンタルヘルスに関する知識や技術を生かしているという。相手が相談しやすい雰囲気作りに貢献できるなど、多くのプラス効果があるようだ。さらに「検定」によってメンタルヘルス・マネジメントのスキルが裏付けされるので、合格者は自信を持ってケアができるというわけだ。これも、検定の大きな意義といえるだろう。

※資料提供:大阪商工会議所

 こうした人材は、前述のように日常業務で自他のストレスに対処するほか、社内のメンタルヘルス対策の基盤を作るリーダー的存在として活躍するケースもある。いずれの場合も、日常業務の中で人的資源の活性化や労働生産性の向上に貢献する、明るい材料になっているようだ。

『月刊総務』2008年5月号 特集「メンタルヘルスは万全か? 積み残された課題と新たな課題へのアプローチ」より


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