ネーミング作業は意外に時間がかかる。しかもせっかく思い付いても、検索したら「この名前、もう存在していた……」なんてことも少なくない。今回は「特許電子図書館」を使って、質の高いネームを発想する方法を紹介する。
ネーミングの作業は意外に時間がかかる。時間をかけてコトバを探し、語感のいいものを考えついた。でも、念のため検索してみたら「この名前、もう存在していた……」なんてこともある。今回は、世間に知られたネーミングを確認できる“世の中ネーミング集”をヒントにして質の高いネームを発想する方法を紹介する。
名称 | 人数 | 道具 | 長所 |
---|---|---|---|
特許電子図書館 初心者向け簡易検索(商標) | 個人 | PC、ネット環境 | 世の中で活用されているネーミングを参考にして質の高い発想ができる |
新商品の企画書を書いている時、仮のものであってもネーミングを考え始めると、際限なく書いては消してを繰り返してしまう。それに、企画マンといっても世の中ウケしそうな語呂のセンスに自信のない人も多い。そんな時、発想のヒントとなる優れたインプットを効率的に得る方法がある。
答えは「特許電子図書館」を使うこと。このサイトは“世の中ネーミング集”として使えるのだ。特許や商標登録なんて全然関係ない、という人でも大丈夫。操作は非常に簡単なのだ。
それでは早速、今回のお題「卵型の名刺カードのネーミング」を特許電子図書館で調べてみよう。
まず、サイト(特許電子図書館 初心者向け簡易検索(商標))にアクセスし、ネーミングに使いたい単語を検索。お題の一部から「卵」というキーワードを入力すると、「『卵』が含まれる商標が568件見つかりました」と表示される。「卵」の代わりに「たまご」と入れれば、検索結果も当然変化するわけだ。
続いて「一覧表示」ボタンを押して、商標名を大量に見ることにする。ここで、ネーミングのヒントを得るのだ。リストには「コロンブスの卵」など、さまざまな名前が並ぶ。それら大量のネーミングをざあっと見ていく。「なるほど、こういう表現ってありだなぁ」というヒントが得られる――はずだ。
もちろんこのリストのネーミングをそのまま真似たり、酷似した名前を付けてはまずい。名前をもじったり、雰囲気やテイストを組み合わせてネーミングするといいだろう。
さあ、ネーミングリストから素振りしてみよう! 「卵」「たまご」「エッグ」「名刺」「カード」でそれぞれ検索。それぞれだいたい数百件ほどの商標がヒットする。ヒントになりそうなものをピックアップ――。「コロンブスの卵」「ぴよぴよたまご」「ビッグエッグ」「勝てる名刺」「コレカード」などが目にとまった。
じゃあ、アイデアとしては……「コロンブスカード」「コロンブスの名刺」なんてどうだろう。ダイレクトに“卵”ということを言わないけれど、「コロンブスの名刺」というシンプルで記憶に残りそうなネーミングはありかも。
それから……「殻破り名刺」なんてどうかな。形が四角くない名刺の“型破り”という感じがかもせるかな。「現状の殻を破るきっかけになります」という商品メッセージも暗に込められるかな。
そのメッセージをもっとダイレクトに表すなら「ビジネスの生まれる名刺」なんてどうだろう。どれも全体的に、シャレた感じが少なすぎる気がするが、「卵×名刺」という商品にはこのくらいがちょうどいいようだ。
そうそう、コロンブスの名刺や殻破り名刺などの自分で考えたネーミングも一緒に検索してしまおう。すでに登録していた商標と同じだったら、せっかく考えたネーミングも使えなくなってしまう可能性もあるのだから。
世の中によく認知されている商品名のテイストを知っておくと名前付けの質が上がる。機会があればぜひ試してほしい。
事業のアイデア創造支援や技術開発をサポートする事業化コーディネーター。仙台のベンチャー企業デュナミスが事務局を務める創造性育成ツール開発プロジェクトでは、プロジェクトリーダーを務めた。このプロジェクトで誕生した新商品が「ブレスター」である。みやぎものづくり大賞(2007)で優秀賞を受賞。社会人院生として、東北大の博士課程にも在籍、新事業創造マネジメントや創造工学を研究。Webサイトは「石井力重の活動報告」。
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