怒られマネージャーが背中で伝えられること――KCCS・永松さん達人の仕事術(2/3 ページ)

» 2008年06月09日 16時18分 公開
[鷹木創,ITmedia]

“1人チーム”で学んだ事務スタッフへの仕組み作り

 2003年、そんな永松さんに上司が「1人でやりなさい」と言った。「KWINS」というウィルコムの回線を使ったMVNOの通信サービスを営業することになった時だ。通信サービスという意味では、マイラインの時と同じだ。だが、違うこともあった。それまでチームで動いていた永松さんだったが、“1人チーム”を任されたのだ。

 「1人なので採算がはっきりします。個人ではあるが成果も求められました」。マイラインの実績を見込まれた永松さんは、マイラインで獲得した顧客にKWINSを売り込んでいった。結果は平均で毎月1億2000万〜3000万円の売り上げを達成。「事務作業などを手伝ってくれるバックオフィスとの連携が大事です」と永松さんは言う。1人だと外出時に、ユーザーから電話があってもフォローできない。バックオフィスのスタッフに「こういう電話があったらこういうふうに答えて」と想定問答集も用意した。「(自分自身がいなくても)自動的に流れる仕組み作りに配慮しました」

 チームメンバーへの配慮を忘れない永松さんだが、有給休暇などで休んだ時に「お土産は買わない」という。一見冷たいようだが、これには考えもある。「一部だけにお土産を買っていくと、手伝ってもらったスタッフに対して均等に渡せません」。社内のいろいろな部署に手伝ってもらっているという意識があるから、「お土産を買うなら全体に配るようにする」という。

 すべて1人で行うため、営業のテクニックだけでなく、通信ネットワークの構築・運用の知識も必要だった。慣れるにつれ、単一のサービスを売るのではなく、いくつかのサービスを組み合わせたり、カスタマイズしたりするソリューション的な仕事がだんだん多くなっていった。

 2005年にはようやく2人の部下ができた。3人で毎月2億円近い売り上げを達成するようになったという。気にかけたのは「仕事をする意味を伝える」こと。「これをこうやって、という細かい話ではなく、どうしてこれをやるのかを伝えます。例えば経理処理で必要だからやる、というように個人の仕事が全体の業務にどのように関わっているかが大事なのです」

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