習慣を継続するための3つのポイント【解決編】シゴトハック研究所

何かを習慣とするまでには、自分の身体の一部となるまでの苦しみを乗り越えなくてはなりません。“芽”が出るまでの日々をいかに乗り切るかがカギです。

» 2008年06月20日 13時48分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

習慣を継続するコツは?

コツ:自分を出し抜く


 どんなに良い方法や優れたテクニックを知っていても、それを必要に応じて繰り出せなければ「宝の持ち腐れ」になってしまいます。さらに、そういった方法やテクニックを使うことで得られたはずのメリットが得られないだけでなく、それらを収集するために使った時間も無駄になってしまいます。

 また、方法にしてもテクニックにしても、使ったその日から効果が得られることはまれで、ある程度の期間使い続けることによって、徐々にこなれてきて、自分の体の一部のようになって初めて効力を発揮するはずです。

 つまり、“芽”が出るまでの日々をいかに乗り切るかがカギになってくるといえます。

 問題編では「英語の勉強」が課題になっていました。1日や2日、英会話レッスンを受けたり、問題集に取り組んだとしても、すぐに実感できるような効果は得られないでしょう。効果が得られない中で、努力を続けることが求められるわけです。

 今回はそのための方法を3つのポイントに分けてご紹介します。

1.レパートリーを増やす

 仮に、ある問題集Aを毎日2ページずつ行うことをもって「英語の勉強」とみなしていたとします。「2ページ程度ならいいかな」ということで、日課にして継続を試みるわけです。でも、同じ2ページでも、日によって自分のコンディションは変わるでしょうし、問題の難易度もまちまちですから、簡単にできる日もあれば、手こずってしまう日も出てきます。

 手こずる日が増えると、続ける自信が揺らぐでしょう。そうなると、継続は危うくなります。

 そこで、「英語の勉強」のレパートリーを増やすようにします。「問題集Aを毎日2ページ」だけでなく、次のように“メニュー”をいくつか用意するのです。

  • 問題集Aを毎日2ページ解く(2ポイント)
  • 問題集Bを毎日3ページ解く(3ポイント)
  • 英会話スクールに行く(10ポイント)
  • 語学番組を見る(3ポイント)
  • お気に入りの海外ドラマを英語で見る(4ポイント)

 そして、メニューごとにポイントを割り振り、例えば「どれでもいいから毎週合計で20ポイント以上のメニューをこなそう」という数値目標を立てるようにします。こうすることで、選択肢の中からその時の自分にとって最もしっくり来るものを選ぶ自由度が生まれますし、ポイントを積み上げていくという目に見える目標もできますからそこに張り合いが生まれます。

 何よりも、「やるかやらないか」という不安定な状態から「どれをやるか」という、少なくとも「やる」ことは保証されるという安定した状態にシフトすることができます。

 異性をデートに誘う時に「映画を見に行きませんか?」と誘うのではなく「ドライブと映画とどちらがいいですか?」と尋ねるようなものです。自動的に「行く」ことが前提になりますから、成功率がアップするわけです(もちろん、理論上の話です)。

 まとめると、1つの方法にこだわらず、“ヒット”するまでいろいろな方法を試す、ということになるでしょう。試行錯誤をしている間は、その習慣と“一緒に過ごす”ことになりますから、いずれ接点が見いだされることもあるはずです。

2.「やっている」という実感や手応えを大切にする

 直前で「張り合い」という言葉が出てきましたが、「張り合い」あるいは「手応え」は、続ける上では不可欠なものです。最終的な効果はすぐに得られないとしても、そこに至るまでの“整理券”を手にすることができれば、安心感が得られるからです。

 習慣そのものから得られなければ、自分で“発行”するのも1つの方法です。例えば、次のような具合です。

  • 英語の問題集を5ページやったら、5分間好きなWebサイトを見てもいい
  • いつもより30分早起きできたら、30分間好きなマンガを読んでもいい
  • 筋トレをやった日は、肉を食べてもいい

 いずれも、きちんとコントロールする必要はありますが、やってもすぐに効果が実感できない習慣に対して、自分にとっての快く感じられる行為を関連づけておくことは、習慣を継続する上での後押しになるはずです。

3.回り道を楽しむ

 冒頭でも書いた通り、習慣が身についてその効果を発揮し始めるまでには時間が必要です。そうなると、すぐに効果が得られるという期待はいったん脇に置き、ゴールまでの道のりを楽しむ方がいいでしょう。

 むしろ回り道をするくらいの気持ちで、毎日少しずつでも、人がやらないことにエネルギーを注ぎ続けることです。もちろん、人のやらないことといっても、奇をてらって自分でも続けられるか分からないことに挑戦することは得策ではありません。そうではなく、自分にとって楽しいと感じられることを選んだ方がいいでしょう。

 サイクリングに出かけたのなら、目的地を目指しつつも、風景を楽しんだり、ペダルをこぐことそのものに心地よさを感じたりといった、プロセスを楽しむようにです。目的地に着くことだけを目標に据えると、ペダルをこぐことが義務になり、続けるのが辛くなってしまいます。

 習慣の継続についても、最終的なゴールにとらわれすぎず、習慣を続けることそのものを楽しむ上で、「レパートリー」を増やしたり、自分なりに「手応え」を上乗せするなどの工夫が役に立つはずです。

筆者:大橋悦夫

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。


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