「制約のある中で思考する」マンダラチャートのアイデア発想法

9マスのマス目という小さなスペースで、アイデアを連想して広げていく「マンダラチャート」。ブラウザで利用できるWebアプリ「e-マンダラチャート」の公開に伴い開催された、同アプリの発表会で話を聞いてきた。

» 2008年08月22日 09時00分 公開
[杉本吏,ITmedia]

 アイデア出しや情報整理に有効とされるマンダラチャートを、ブラウザ上で作成できるWebアプリ「e-マンダラチャート」。無料試用版の公開に伴い、マンダラチャートの普及や活用法について考えるマンダラチャート学会は8月21日、同アプリの発表会を開催した。

(左)無償試用版が公開されたWebアプリ「e-マンダラチャート」。(右)マンダラチャート学会会長の松村寧雄氏

 マンダラチャート学会の村松寧雄会長が1979年に考案したマンダラチャートは、9マスのマス目の中央にテーマを書き込み、その周囲のマスにテーマから連想される言葉を書き込んでいくことで、アイデアを広げていく発想法だ。日々の業務やイベントの進捗管理など、情報整理にも有効なツールとして知られている。

 マンダラチャートを用いたアイデア発想の特徴は、「制約のある中で思考すること」だという。まっさらな白紙を前にしていきなりアイデア出しをするというのは難しいが、「テーマを設定してそれを“マスで区切る”ことによって、些細(ささい)なことでも書きやすくなる」(マンダラチャート学会の太田勝久専任理事)ためだ。

マンダラ手帳。これまでにのべ10万冊を売り上げたという

 学会のウィリアム・リード常任理事は、「マンダラチャートは、発想を整理するだけでなく、発想の視点を変える“考具”」だという。アイデア発想のための考具として、普段のマンダラチャート作成をサポートするのが「マンダラ手帳」だ。見開きには9つのマスをマンダラ状にレイアウト。中央のマスには「今週の目標・役割」を、外側の7マスを使って1週間のスケジュールを書き込む。右下の1マスには「今週の評価・感想・対策」欄と、大きなメモ欄も備えるため、単に予定を書き込むだけでなく、後から読み返したときに意味のある手帳を作れるという。

 さらに、今回新たに公開したサービス「e-マンダラチャート」では、Webアプリならではのメリットを備えている。マス目に色を付けたり、マスごとの場所を入れ替えて優先順位を変更したりといった点だ。将来的には、マスの中にテキストだけでなく画像や動画、音声なども埋め込める機能を実装予定で、複数ユーザーでのマンダラチャートの共有機能も搭載するという。

 マンダラチャートと連携してアイデア発想・情報整理に役立てるマインドマッピングソフト「MindManager」を販売するマインドジェットの長谷川清部長(ビジネス推進部)は、「マインドマップは、(ワークスペースを考えると)ある程度フリーな思考法であるのに対し、マンダラチャートは、マス目の制約からアイデアを広げていく思考法。ただし、中心となるテーマから発想していく点や、アイデアに順序がなく思いついた順に書きこんでいける点は非常に似ている」とコメントした。

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