Firefoxを提供するMozilla Japanでは、「現バージョンのユーザーインタフェースがベストと考えているわけではないし、ユーザーの声によっては変更する可能性もある」という。
ツールバーの右クリックメニューからカスタマイズ設定すれば、一番上のメニューバーに「タブの一覧」アイコンを表示することも可能だし、「Tab Mix Plus」や「Tab Kit」などの拡張機能を使えば、タブバーをページの上下左右などに表示できる。Mozilla Japanは「どんな配置が使いやすいかというテストはしている。だが、あくまでも、ユーザーが好みに応じて選べるということが重要」と強調する。
タブブラウザの草分け的存在として知られるOperaでは、デフォルトではタブバーをメニューバーとアドレスバーの間に配置している。アドレスバーがタブバーの下にあるのは、「ブラウザにおいて1つ1つのタブは独立しており、各タブの中で表示されるページ情報を示すアドレスバーは、当然各タブに帰属するものである」という設計思想によるものだという。
Operaは、ブックマーク管理やダウンロードマネージャなどを、Webページと同様にタブとして表示する仕様だ。Webページ以外のタブをクリックした場合は、アドレスバーを自動で非表示にするなど、「ユーザにとって一番使いやすいインタフェースを考慮した結果、今の配置となっている」と説明する。
また、タブバーやブックマークバーの位置をページ最下部やサイドバーにも変更できる。ツールメニューの「外観の設定」から変更でき、拡張ファイルなどをダウンロードする必要はない。個人的には、こうした辺りに「ブラウザ開発の一番のプライオリティをユーザビリティの向上にあてている」というOperaの設計思想が感じられた。
なお、Internet Explorer 7/8も、タブバーの位置は固定だ。位置そのものはアドレスバーの下で、従来型のタブブラウザを踏襲している。この位置に何らかの意図があるのかどうかは、マイクロソフトに問合わせ中だが、固定していることを考えると、Google Chromeと同じように、あえてそこに配置しているのかもしれない。
こうしてみると、Google ChromeとFirefoxは対照的。Google Chromeが設計思想を前面に押し出したユーザーインタフェースで、そもそも拡張機能を必要としないようなデザインであるのに対して、Firefoxは、インストール直後のいわゆる“素”の状態から、ユーザーが自分にあったインタフェースを作っていくデザインである。
固定的なインタフェースのGoogle Chromeと、拡張機能をダウンロードすることで自由にカスタマイズできるFirefox。この両者のいいところを併せた、と言えそうなのがOperaだ。最も使いやすいと考えるインタフェースを提示した上で、さらに拡張機能をダウンロードすることなくインタフェースをカスタマイズできるからである。
普段何気なく使っているボタンの大きさ、ツールバーの位置などちょっとした点に思いを巡らせてみれば、設計者の込めた“思想”もなんとなく見えてくる――。
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