ケータイメールを記憶のフラッシュメモリとして使うのだシゴトハッカーズ(3/3 ページ)

» 2008年10月02日 14時58分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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携帯ツールは短期記憶の補助に

 筆者に限ったことではないと思いますが、携帯電話やiPhoneなどのツールは、人間の短期記憶の弱点を補う目的で活用するとよいでしょう。

 短期記憶の弱点としては、まずよくいわれる容量的な限界(7±2のチャンク情報)があります。まとまりがないデタラメな数字や文字列は、いちどきに5から9字しか覚えておけない、とよく指摘されているアレです。

 ですが短期記憶の弱点はこれだけではありません。記憶内容が不正確で、あいまいすぎるのも欠点です。

 例えば打ち合わせ場所までの行き方ひとつ取っても、全く見当もつかないということはあまりないもので、事前に地図を見ておけば、何となくは覚えているものです。しかし、その何となくの記憶を頼りにすると、目的地まで行き着くことができないのです。

 相手の携帯電話の番号もそうです。何となくは覚えていて、はじめは080だったとか、最初と最後は5だったといったことは思い出せます。しかしそれでは電話できない。

 要するに、人間の短期記憶の情報だけでは、あいまいすぎて、ピンポイントの情報が必要な場合には、頼りにできないのです。だからこそ、正確に情報が記録されているネットやメールに、デジタルツールでアクセスしたいという要望があり、これをみたすために、インターネット接続が可能な携帯電話などを使うわけです。

 打ち合わせでお話しする人の電話番号や行き先までの情報などは、つい1週間前に聞いたばかりで、すぐに必要になる情報です。すなわち、短期記憶です。人間の短期記憶は、名前や番号を精密に覚えておくためのものではなく、ついさっき自分が何をしていたかとか、今何をしようとしていたかなどという、無意識的な方向付けのためのものなのです。

 ですから、もともと電話番号のように正確さを求められるものには向かないのです。そういうものは携帯電話やPDAや紙などに記録しておき、短期記憶は、何を見ればいいかを思い出すために使うべきでしょう。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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