会議だけに使うのはもう古い!? 面接、教育、株主総会――広がる用途目的別に使いこなす「遠隔会議システム」、導入と活用ポイント

遠隔会議システムを会議だけに使うのは過去の話かもしれない。地方との面接に活用する企業や特許庁、外科手術の授業に使う医療教育現場。最近は通信回線などの技術革新に伴い、用途は広がる一方だ。

» 2008年10月16日 20時10分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 前回、実際に会議システムを使っている企業に、テレビ会議システム、Web会議システム、電話会議システムのうち、どの会議システムを使っているのかとその理由を尋ねた。すると国内大手のある文具メーカーが、商品の小さな文具の細部まで鮮明に映し出せる必要がある――という理由から、テレビ会議システムを採用していることが分かった。

鮮明な画像が必要な現場で――医学部の外科手術講義、メーカーの商品や素材

 この文具メーカーのように、テレビ会議システムやWeb会議システムには、会議参加者をただ映すのではなく、高精細な画像を映せる利点を生かした使い方もある。岐阜大学など医学部のある大学がそうだ。外科手術の講義で、別室や遠隔地での手術をテレビ会議システムのモニターに映し出し、学生たちの学びに役立てている。

 また、国内のあるアパレルメーカーでは、海外の工場と国内の本社間などで、生地の質感などを打ち合わせる際に鮮明な画像が必要となり、テレビ会議システムを活用しているという。

 このように、遠隔会議システムの用途は必ずしも会議に限られているわけではない。通信回線のブロードバンド化やPCのハイスペック化などの技術革新とともに用途が広がってきているのだ。

時間外窓口やカスタマーサポートに――銀行や生命保険

 企業が内部のコミュニケーションではなく、外部へのカスタマーサービスの一環に採用するケースもある。

 旧UFJ銀行など各銀行が、15時以降に新規顧客ニーズを開拓する目的で、銀行の受付ブースを訪れた顧客と、別場所にいる受付窓口担当がテレビ会議システムでつながる、テレビモニターの窓口を設置。チューリッヒ生命など生命保険各社も、同様の窓口を設置して、新規顧客開拓やカスタマーサポートに活用した。

就職希望者や出願者との面接にも――企業や特許庁

 特許庁では1997年からテレビ会議システムを使っている。特許庁は東京にしかないため、地方の出願者が面接のために上京する必要があった。そこで出願者の負荷を減らすため、地方の経済産業局内と、東京の特許庁内のテレビ会議室をつないだのだ。

 テレビ会議システムの採用により、出願者は上京することなく経済産業局から相談赴くだけで東京の審査官と詳細に相談できるわけだ。面接の活用では、地方の学生などを遠隔会議システムを通して面接する企業もあるという。

遠隔地からの株主総会の参加も

 2006年に施行された会社法では、株主総会での遠隔会議システムの活用を認めている。

 同法施行規則72条3項1号には「株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む)」とある。この「当該場所に存しない」場合でも、株主総会に出席したこととみなすのだ。株主はわざわざ総会の開催されている場所に行かなくても、意思決定できるのである。

 遠隔会議システムは会議だけに使われているのではない。その用途は今後も広がりそうだ。会社でせっかく採用するなら、うまく活用したい。

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