新しい挑戦には“恐怖”が伴うのだシゴトハッカーズ(3/3 ページ)

» 2008年10月17日 00時32分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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新しい挑戦には恐怖が伴う

 メジャーリーガーのイチローさんが、「200本打てないかもしれない」という思いが頭をよぎったときの「恐怖」について、NHKのインタビューで答えていました。彼が「不安」と言わず「恐怖」と言ったのに、注意をひかれました。

ロバート・マウラー著『脳が教える!1つの習慣』

 ベストセラー『脳が教える!1つの習慣』の筆者ロバート・マウラー氏が、「非凡な人ほど、ストレスや不安という言葉を使わず、『恐怖』という言葉を使う」と指摘していたことを思い出したのです。マウラー氏は、なぜ非凡人が「恐怖」という言葉を使うのかについて、それと闘う必要があることを知っているからだと指摘します。

 それに対して多くの人、特に大人になると、自分がまともに生きている限り、「恐怖心が起こるようなことが、身の回りに起こってはならない」と考えます。だから、本当に感じているのは恐怖という強い感情であるときでも、何とかしてそれを抑え、「不安、憂うつ、神経症」といったもっともらしい言葉に置き換えてしまうのです。

 新しいことに取り組めない。それは、こうした態度から生じる問題です。新しいことというのは大きな挑戦ですから、特に忙しい人の場合、そんなチャレンジに挑もうとすれば、恐怖心が生じるのが当然です。が恐怖を覚えるのです。


 ですが、「まともに生きていれば、恐怖を覚えるようなことはめったに起きないはずだ」と信じている人は、そんな新しいチャレンジへの恐怖心を抑圧し、代わりに、「新しいことをしようと思ったのだが、ちゃんと続くかどうかが心配になって……」などと、本当の気持ちをわずかばかり偽ることで、恐怖に立ち向かう気力をも、スポイルしてしまうのです。

 たとえ行き帰りの電車の中で、ちょっとだけ英語の勉強を始めてみる、という程度のことであっても、それまでの生活習慣に対する挑戦になるのですから、脳は恐怖を覚えるのです。変化を恐れるのは当然です。そうした「恐怖心」はあらかじめ、当然生じるものと心構えをしておくべきでしょう。それに加えて、具体的な準備もしておきます。

 マウラー氏は新しいことを始めるに当たっては、

  1. やることを1つだけに絞る
  2. ほんのちょっとだけにする(英語の勉強なら、1日1分だけとか)
  3. 挫折しそうなときのために、もっと楽な代替えプランを用意しておく

 とする必要があると言います。こんなふうでも、続けていくうちに、もっとやるだけの結果が出るやり方へと発展させることができるからです。逆に、始め無理をして挫折してしまうと、楽なプランすらきつくなります。

 物事を始めるに当たっては、「恐怖心が生じる」ことをあらかじめ見積もっておく必要があるわけです。ほんのわずかで気楽にできそうだったとしても――です。

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挑戦 | | 不安 | 習慣 | ストレス


筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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