「生野菜の手渡し」で、健康と会話のキッカケ作り――ゆめみ「働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(2/2 ページ)

» 2008年11月05日 20時44分 公開
[豊島美幸,ITmedia]
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加工品や事前告知――自炊しない人や野菜嫌いな人にも配慮

 制度開始に当たり、社内で事前調査したところ、自炊しない人は1割。ほとんどの従業員が自炊をしていることが分かった。自炊しない人の負担にならないよう、そのままで食べられるものを、また、自炊する人には料理のレパートリーが広がりそうな食材をと、生野菜と加工品のセットを配布するようにしている。

10月のセット内容。りんご(ジョナゴールド)にネギ、そして唐辛子(清水森ナンバ)

 10月31日の金曜日に配布したのは3種。皮を洗ってそのままがぶっといけるという、無農薬のりんご「ジョナゴールド」。日本海の潮風の当たる海岸段丘で栽培した天然ミネラルたっぷりの長ネギ。そして、津軽地方で400年以上栽培されている唐辛子の在来品種「清水森(しみずもり)ナンバ」というラインアップだ。

 「清水森ナンバは、市場に出回っている交配を繰り返した他品種に比べ、ビタミン類やカルシウムの含有率が高く、糖度も2倍ある」など野菜の詳しい情報が、配布の2週間前に従業員に届く仕組みになっている。自然相手なので天候によっては配布野菜を変更する場合もある。9月はなめこを配布予定だったが成長が芳しくなく、代わりに大根を2本配った。

 告知から配布までの間、料理したい人は、考えたレシピに合わせ、配布食材以外の食材を事前に用意。野菜嫌いの人は、ほかの従業員に譲ったりトレードしたりと、各自段取りをつけている。「この段階から職場や家庭内で、すでに新しい会話が生まれているようです」(原田さん)

自然食の会議弁当、ブリッジ休暇――健康を考えた環境作り

 「働きやすい」の形はこれだけではない。ゆめみでは週2回、会議を開く。従業員は、最低月1回は出席することになっている。会議では毎回弁当を出すが、これも自然食なのだ。「せっかくなら健康的な弁当を」と、私生活でも自然食にこだわっている原田さんが、行きつけのオーガニックレストラン「Ohana(おはな)」に発注している。東京・三軒茶屋のオフィスから近いOhana。この店名はハワイ語で「健康的な」を意味する。

 また、2008年1月から「ブリッジ休暇制度」も始まった。火曜日が祝日など飛び石連休だった場合、平日の月曜日に“橋”をかけ、土曜日から翌週火曜日まで4連休にする制度で、まとめて休んでもらいたいという会社側の配慮からだ。2008年はみどりの日、秋分の日を利用した連休を2回実施済みで、残すところ、12月23日の天皇誕生日のみ。「3回のうち、少なくとも1回は取ってほしいですね」(原田さん)

 そのほか、女性社員の増加を受け、2008年4月からは育児負担金制度を拡充した。上限60万円まで負担する制度で、初年度半ばで既に3人が活用したという。従業員個人が購入した雑誌や書籍の半額を会社が負担する書籍購入補助制度もある。「雑誌が買いやすくなった」と社内で評判だというこの制度は、資料を買い集めるクリエイター業界ならではといえそうだ。


 では、始めたばかりの野菜支給制度の評判は? 原田さんに聞いた。

 「上々です」。5月配布のドレッシングを気に入った社員が実家にわざわざ取り寄せたり、7月配布のトマトケチャップに「今までのトマトケチャップが嘘みたい!」と感想を寄せてきたりと、さまざまなリアクションが返ってきているという。「今後は料理コンテスト……までは無理でも、作った料理の画像をWeb上にアップしやすい仕組みも考えていきたいですね」

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