新聞の例でお分かりのように、速読にはどうやら自分自身の体験情報が重要なカギになりそうです。実は、速読力を身に付けるための基本的な考え方は、前回も説明しました。要約すると、「本で知った伝聞情報を体験情報と結びつける」ということになります。
ではこの考え方がなぜ、速読力をつけることに役立つのかについて考えてみましょう。私が考えるに情報には3種類あり、それぞれ、
に分けられます。
(1)の「体験情報と結びつく、知っている情報」が増えると、本の中の同じような情報に関しては、それほど熱心に読まなくても問題ありません。同じ情報なら知っているし、体験もしているのですから。であれば、(1)の情報が増えれば読書スピードが上がる――というわけです。本を速く読める人は、実はたくさんの分野のたくさんの情報を知っていて、1冊の中で読まなくても理解できる分量が多い人なのです。
つまり速読できない人は、(1)の情報量が少ないわけですから、「情報をたくさん仕入れるために、本をたくさん読め」が答えになります。こんなことを言うと、「たくさん本を読むために速読を学んでいるのに、速読するには本をたくさん読まなければいけないのか」と疑問に思うかもしれません。確かに、鶏が先か、卵が先か、という議論になってしまいますよね。
ということで、読書スピードを高めるためのもう1つの考え方として、「情報と結びつける体験情報を増やす」ことが有効となります。つまり(3)の「体験情報と結びつかない、知らない情報」の領域を減らし、(2)の「体験情報と結びつく、知らない情報」の領域を増やすことが、速読力を高めるポイントになるのです。前回の記事にも書きましたが、要約すると「伝聞情報を体験情報化せよ」が速読力につながるのです。
これを継続して続けていくと、自分の中に、あらゆる情報が体験にリンクした形で入っていきます。すると、その体験にリンクした情報を元に、新しい情報がリンクして入ってくるようになるのです。イメージとしては、ベースとなる体験情報にフックがついていて、そのフックに色々な情報が引っかかってつながっていくような状態、といえばお分かりになるでしょうか。
そして、この体験情報と結びついた情報にも、いくつかのフックが生まれ、このフックが、新しい情報を引っかけてくれるようになるのです。そして、体験情報からつながる情報の連鎖が、体験をしていなくてもそれに近い「疑似体験情報」となって、さらに新たな情報を引っかけてくれるようになるのです。
先ほどの新聞の例でも挙げましたが、学生のときはよく分からなかったビジネスの記事も社会人になると分かるのも結局は、学生時代にはビジネスの体験がないためです。社会人になってビジネスの体験情報が増えれば自然と新聞の記事も読めるようになります。これは社会人の経験がフックになっているからにほかならないのです。
「速読する」ことは、自分の体験情報から連なった情報のフックの束を本の情報に放り込んで、つり上げる行為なんですよね。ですから速読したいと思ったら、体験情報と結びついた情報の連鎖を増やしていくのが一番。どんな情報も素早く理解できるように、多くの体験情報をストックできるようにしましょう。
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