トークに「ブレーキ」をかける技を身につけようプロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術(2/4 ページ)

» 2008年12月03日 09時33分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

シーン2:は、速い、速いよこれ、速すぎる……

 それから約1週間後のこと。吉見さんと私は、某所(要するに私の仕事場ですが)で密談を繰り広げておりました。テーマは要するに「講師スキル」つまり「教えるための演出」つまり図1のAとBの両方です。「あまりにももったいない」と感じた私が吉見さんに提案し、

  • 講師スキル即効パワーアップ・コンサルティング

 をすることにしたわけです。

 そこでまず行ったのが、トーク速度確認セッションでした。具体的には以下のようなワークです。

トーク速度確認セッション

 5分間程度のミニセミナーを行い、それをビデオカメラで録画する。終わったら再生してみて、適切なスピードで話をしているかどうかを確認する。


 実際にはこの5分のミニセミナーではトーク速度以外の項目も確認しますが、とりあえず大事なのはそれです。というのは、たいていの場合こんなことが分かるからです。

自分のミニセミナーを見た吉見さんの感想

 うわっ何これ。速い、速いよこれ、速すぎる……。オレ、こんなスピードで喋ってたの?


 そうなんです。実は、講師役を任された時に非常に多くの方がはまる落とし穴の1つがその「速すぎる」という問題です。人間誰しも人前で話をするときには緊張します。そして人は緊張すると早口になる傾向があります。

 今でも覚えていますが、私が初めて100人近い聴衆の前で講演をしたときがまさにこれで、知らず知らずのうちに早口で喋り始めてしまったことがありました。そして、いったん早口で喋り始めると、その早口自体が緊張に拍車をかけてしまうので、なかなか止めることができません。

 しかも、講師と受講生では体感速度がかなり違います。

 人間はどうしても自分が知らないことを聴いて理解するのには時間がかかります。「すでに知っていることを話す」講師にとって自然なスピードは、知らないことを聞く受講生には速すぎるのです。その差は図2に示すように非常に大きなものがあるため、講師は意識的にスピードを落とさなければいけません。

 ただし、ここでもう1つ注意しなければならないことがあります。私と吉見さんの会話からそのシーンを引用しましょう。

吉見 じゃあ、毎分何百字ぐらいのスピードがいいんですか?

開米 いや、実は大事なのは「毎分何百字」というような平均的なスピードじゃなくて、

  • 緩急をつけること、そして間を取ることなんです。

吉見 緩急と間? ですか??

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