「ほらやっぱり、思った通り○○な人だった」。仕事仲間やパートナーに対して、こんな思いを抱いたことはありませんか? 日ごろ抱いているイメージは、えてして現実になるものです。なぜでしょうか。
「○○したいのに踏み切れない」。そんな時は、あなたのセルフイメージ、信念、価値観が自分自身にブレーキをかけている可能性があります。逆に、この3要素をアクセルに変えれば実現する可能性が高まります。それには、目標と3要素を調和させればいいのです。
前回はセルフイメージの悪い例までお話ししました。セルフイメージのいい例から解説を始めましょう。いい例としては、ヒルトンホテルの創業者、コンラッド・ヒルトンさんがいます。
彼は、若いころは学歴もなくて、ホテルのベルボーイをやっていたそうです。後年、インタビューを受けた時に、「たかがベルボーイが、どうやってここまで成功できたんですか?」とちょっと嫌みっぽく聞かれた。この時に彼は「ベルボーイが成功してホテル王になったんじゃない。ホテル王が、ベルボーイから始めたんだ」と答えたそうです。
これも「私はホテル王なんだ」というセルフイメージなんですね。「オレはベルボーイだ」というのと、「ホテル王は、20年前の今はベルボーイをしている」とでは全然違いますね。「自分はベルボーイだ」というセルフイメージでは、生涯ベルボーイの可能性がありますが、「私はホテル王」というセルフイメージでベルボーイから始めているとなると、気持ちの持ちようも行動もまったく違います。
最近では「ラーメン・つけ麺・僕イケメン」というキャッチフレーズで人気の狩野英孝(かりの・えいこう)さんというお笑い芸人がいますよね。
このフレーズはギャグではありますが、もし彼が本当に信じ込んでいたら、彼のセルフイメージはイケメンなんです。聞いた人は最初は笑うけれど、本人が本気で思い込んでいるとセルフイメージになって、周りもそういうふうに感じてきます。まあ、イケメンとまで思わなくても魅力的だとは思うようになる。
企業家でもそうです。
「私は日本を動かす企業家だ」というセルフイメージを持っている人と「自分は町工場の工員だ」と思っている人ではセルフイメージが全然違います。「自分は給料をいっぱいもらっているエンジニアだ」というセルフイメージを持つのと、「私は未来のIT長者なんだ。それが今は、現場の勉強をしているんだ」と思うのでは全然結末が違います。
例えば楽天の三木谷浩史(みきたに・ひろし)さん。
彼は楽天を創業する前はコンサルタント業で相当うまくいっていたらしく、年収も数千万円だったそうです。でも、「私はこれで終わる人間じゃない」というセルフイメージを持ったんですね。それで、楽天という会社を興した。最初のうちは全然うまくいかず、1人1人、手分けしてお店を回ったそうです。何千万円も稼げていたんだから、そんなキツイことはしなくてもよかったはずなのに、セルフイメージが違うからやってしまうのです。成功する人は、間違いなく大きなセルフイメージを持っています。
今は貧乏だけどいつか成功したい。そんな人は1点だけ豪華主義でいくのがいいとよく言われます。
例えば3泊4日の旅行だとしたら、2泊は安い宿に泊まっておいて、最後の1泊だけは超高級ホテルに泊まるんです。この時「私はこの場所にふさわしい人間だ」と、セルフイメージを上げることが大事なのです。
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