炎上はコメント欄やトラックバックで批判的・感情的な意見が大量に寄せられ、運営者が対応できる限界を超えた状態を指しますが、賛成派と反対派で意見が分かれたり、ブログや掲示板で議論が繰り広げられたりすることは、炎上でもなんでもない「煙状態」です。
火と煙は、熱を帯びている点では同じですが、煙は悪いことばかりではなく、むしろ歓迎すべきことです。濱田屋さんは、屋形船では日本初となる「屋形船で萌え★ メイドさんとの宴会コース」というサービスを開始しました。これは、「宴会を絶対に盛り上げる最終手段 メイドさんと愉しむ屋形船での宴会」というユニークな独自企画商品です。
「案の定、いろんなブログで取り上げられたし、掲示板で話題になりました。笑われたり、拒否されたりするケースももちろんありましたが、万人受けしないのは想定の範囲内です。むしろ、期待していた通りの賛否両論が起きたので、私たちにとっては成功でした」
とのことで、濱田屋さんは、火と煙の違いを十分理解した上で、「あえてツッコミどころを用意」して、話題にされる工夫を仕込んだのです。
濱田屋さんには、「人の感情を害するものでないのなら、目立ったモノ勝ち」という分かりやすいスタンスでブログを運営しています。実際に、メイドさんとの宴会コースは、予想通り多数のブログで取り上げられることになり、話題として盛り上がっただけでなく、結果的に多くの被リンクも獲得しました。結果的にサイトのアクセスも急増し、人気商品になったということです。
一企業の打てる炎上防止、トラブル防止対策には限界があります。消費者が怒りをネットでぶつける場所は無数(個人のブログや掲示板、SNS、評価サイト)にあり、人の口に戸は立てられません。
それは、インターネット以外のオフラインでも同じで、逃げ場などありません。企業がいくら目を背けようとも、「人は話したいことを話す」という事実は変わりません。コメント、トラックバックを閉じれば、とりあえず自社サイト上でのトラブルは解決したかのように見えます。しかし、いくら自社Webサイトやブログが平穏無事であっても、企業のあずかり知らぬよそで盛大に盛り上がっていたら、どうしようもありません。
火の用心の対策は打ちつつ、必要以上に火を恐れず、そして逃げるよりも攻める姿勢をお持ちいただければと思います。
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