「今年こそ○○するぞ」を行動に移すには?「チェンジ」するための3ステップ(2/2 ページ)

» 2009年01月09日 09時20分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]
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自信は「初めにつける」もの

 多くの人が、自信は後からついてくるものだと思っています。結果が出て初めて、自信がつくと思っている。でも、そうじゃないのです。先に自信を持って行動することもできるのです。先に自信を持って行動すると、同じ課題でもいい結果が出やすいです。

 その自信がどこからくるかというと、前回の連載でお話ししたセルフイメージです。自分に対して良いイメージを持っている人は、やったことがないことでも臆せずやれます。高慢でも過信でもなく、自分に対して良いイメージを持っている人は、新しい課題を与えられても、「そうですか。全力でやってみます」と言ってやれます。ところが、セルフイメージが低い人は、「いや、僕には無理ですよ……自信がないです」となります。

 例えば、練習中はすごく調子がいいのに、周りにギャラリーがたくさんいると、途端に調子を崩す人がいます。反対に、「そんなにできるわけじゃないけど、やれるだけはやろう」と思っている人は、みんなが見ていても良い結果を残せることがある。この場合は、課題に対する能力の問題ではないのです。

 典型的なのが、北島康介選手とブレンダン・ハンセン選手ですね。アテネ五輪のころ、記録的にはハンセン選手の方が北島選手より速く泳いでいましたので、単純に考えればハンセン選手が勝つはずです。結果で自信を持つのであれば、直前に世界記録を更新したハンセンが最も自信を持つべきですね。

世界一速いスコアを出したのだから、世界一自信を持たないとおかしい。でも、北島選手が勝ちました。北島は、先に自信を持っていたので世界一になったといえるでしょう。

 柔道選手だった石井慧選手にしても同じです。専門家に言わせると、彼の柔道はずば抜けてセンスがいいわけではないそうですね。でも、彼は世界一自信を持つようにした。そして、結果は世界一。彼は「強い人間が勝つんじゃない、勝った人間が強い」と言っていますが、勝つために「自分は勝つ人間なんだ」というメンタリティ、セルフイメージ、自信を持ったわけです。

 私の場合、36歳で米国から帰国した時には、実は企業研修は1度もやったことがなかった。コーチングといっても、米国で学んできたコーチングは要するに自分探しセミナーで、同じコーチングでも全く違う。しかし、「コーチングをされるのだったら、ぜひわが社の企業研修をお願いします」と言われて、マネジャー研修を頼まれました。でも、本当はやったことがない。でも、私は自信から始めました。セルフイメージを上げて自信満々にやっていたら、休憩時間に「いやあ、本当にいい研修ですね。先生は年間、何回くらい研修されているんですか?」と言ってもらえたんです。今日が初めてです、とは言えませんでした(笑)。

 自動車のことは知らないし、セールスのことも知らないし、セールスマンの研修をしたこともないのに、某大手カーディーラーでセールスマン研修をしたこともあります。その地方に行ったのも初めてで、初めて尽くしでした。たぶん、セールスマンに必要な基本的なコミュニケーションスキルはこういうものだろう、と思って目一杯やった、休憩時間に「いや、これはすごい役に立ちます。先生はいつもカーディーラーを回ってらっしゃるんですか?」と言ってくれました(笑)。こうした自信は先に持てるのです。

 コンテンツ以上に、その人の自信が伝わるものです。自信を持って、「こんにちは! さあ、これから研修を始めましょう」と言われると、なんとなく信用できるんですね。「セールスではお客さんとの信頼関係が大事ですね」と、言っている内容は当たり前のことばかりでも、自信を持って言われるとより納得できるのです。反対に、声が小さかったり、自信がなさそうな口調、態度だと、かなり高度で正しいことを言っていても、「大丈夫かな、この人」と信頼されずに終わってしまいます。


 次回は「変えるタイミング」について解説していきます。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本あきお(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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