“Not To Do”を用意するのだシゴトハッカーズ(5/5 ページ)

» 2009年01月15日 12時41分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

10項目に共通すること

 対談中の10項目は、全体として目指すべき方向性を持っています。それは、

  • 行動の切り替えをより容易にすること
  • 持久力を保つこと
  • 活動全体に連続性をもたらすこと

 の3点です。

 行動の切り替え時というのは、記憶想起、緊張感、疲労の自覚など、「転落しやすい状態」にあります。ですから、なるべく切り替えポイントは少な目に、切り替えるときは短い時間に簡単に切り替えられるほどよいのです。その意味で、しょっちゅうメールチェックするなど仕事中にわざわざ切り替えポイントを増やす法はありません。

 「思いつきをキャプチャーする仕組み」や「本の序文と後書きを読む」といったことも、行動の「出だし」にあたる切り替えポイントを、より楽に乗り切るライフハックです。ここでつまずくことが多いからこそ、ここを楽にしておくと、より多くの活動をスムーズに行うことができるのです。

 また、「連続して仕事しない」とか「最後までやり抜かない」といった小技は、持久力を保つための方法です。現代の仕事は、マラソン並みの「長距離走」であり、しかも「障害物競走」さながらの長距離アスレチックです。当然持久力も必要になってきますし、ここでもやはり「ポイント」が少ないほど有利に進められるわけです。

 また、ほぼ全体を通していえることだと思いますが、切り替えを少な目に、切り替えを楽に、そして燃え尽きてしまわないようにする配慮は、行動の連続性を保つという方針の表れです。

 同じ人間が活動を進めているのですから、そこには時間的な流れの中で何らかの「連続性」があるはずです。人と会って打ち合わせをし、それから交通費の精算をし、その後に企画書をまとめ、プレゼンの準備するというように、全体の行動にあまり連続性が感じられないような日を過ごしたとしても、やはりそこには連続性があるはずです。その連続性があまり感じられず、たくさんの分断されたタスクを機械のようにこなしている日が続くと、精神が消耗します。そうした消耗はなるべくなら避けるべきです。いわゆる「マルチタスク」が多く、並行作業を短時間でどんどんこなさねばならない人であれば、なおのことです。

 コンピュータであれば、機械的にタスクを「スイッチ」していけばいいかもしれません。休憩も不要でしょう。仮に「壊れて」しまっても買い換えればすんでしまいます。しかし、人間はそうはいかないのです。

筆者:大橋悦夫

大橋
ks_ohashi.jpg

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
ks_sasaki.jpg

心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ