1960年代に入ると高度成長期を象徴してか、それまでのグレー一色ではなくカラフルなイスが登場。1966年の重役用チェア「2263型」は背座に布張り、背上部とひじ置きにビニールレザー張りをつかったコンビ張りを採用した。
米国のデザイン家具の会社とも積極的に提携し、米All-Steel Equipment Incの技術援助を受けて製作した全面ビニールレザー張りの「2533型」や、米ASEと提携して製作したキュービックデザインの「2561型」も登場している。
2263型、2533型、2561型はいずれも重役用だったり来客用だったりしたが、1967年は一般オフィス用にもカラフルなイスが登場し始めた。それが「21型シリーズ」(展示は「2118ZZ」)である。座面に布張りを採用し、多色化を図っている。
21型シリーズの後継にあたる「20型シリーズ」が登場したのは1978年。人間工学に基づき、座面に曲線を持たせたり、一般事務用チェアで初めてタックリングによる柔らかな座り心地や、ガススプリングによる上下の高さ調節機構を備えた。
1980年になると、PCでの作業を意識した「27型シリーズ」も登場。座面の高さ、背もたれの上下、ロッキング角度の調整などをすべて備えた国産初のエルゴノミックチェアだという。アルミダイキャストの脚や、プラスティックシェル構造など、現在のワーキングチェアにつながる画期的なチェアなのだ。
ちなみに脚の本数が、27型シリーズ以降はそれまでの4本から5本になった。これは、27型シリーズから調整機能が充実したからだ。以前のものに比べて上下の高さを大きく変えられたり、ロッキングの角度も大きくなったりしていたため、従来の4本脚では不安定になっていたという。
1986年に登場した「28型シリーズ」は、いわば27型シリーズの量産型とも言うべきモデル。脚やひじ置きにプラスチック素材を採用して軽量化を図る一方、背もたれや座面の布地とクッションとなるウレタンを同時に成形する技術などが進んだ。
翌1987年の「X-1シリーズ」は、それまでのロッキング機構を刷新。ひざ下を支点に座面と背もたれが前後に傾く「ニーチルトロッキングメカ」を搭載し、ひざ裏への圧迫感を押さえたという。また、X-1のころから、座面幅や張り材などの選択肢が増え、一般からエグゼクティブまで幅広い層をカバーできるようになった。
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