初めてプレゼンをする人に共通しているかな、と思うことが1つあります。それは、このプレゼンで何を伝えようとしているのか、目的は何なのか? ということが、けっこうブレているということ。意外に、プレゼンを依頼する側も明確にしていなくて、「とにかくプレゼンしてくれ」なんてのも多いみたいで。どのように自分の中で目的を整理して意識していけばいいのでしょうか?
そうですね、プレゼンを依頼する側も実はあえてあいまいなままにして、何とかうまいことまとめてほしい、という「丸投げ」モードであることがあります。そうであったとしてもプレゼンというのは、プレゼンターが一人で作るものではなく、依頼者も巻き込んだ形でともに作り上げていくものですから、まずは依頼者に質問するのがいいでしょう。
「テーマは何ですか?」とか「どういうことを話せばいいですか?」という質問ではなく、「入れないほうがいいトピックは何ですか?」とか「絶対に入れてほしいトピックはありますか?」という質問です。いろいろなトピックが浮かぶ中で「とりわけこれだけは入れてほしい」という意図が引き出せれば、なぜそれを入れてほしいのか、を掘り下げていくことができます。
依頼側としても、何となく答えているだけのつもりが、質問されることで明確になり、「実は、むしろ○○の話をしてもらったほうがいいかもしれない」という展開も期待できます。また、「入れてほしくないトピック」であれば、さらに突っ込みやすいでしょう。入れてほしくないと思っている背景にあることを探ることで、依頼側の意図が浮かび上がってくることがあるからです。
例えば先ほどの「やる気」をテーマとした本の出版記念セミナーでは、佐々木さんは、どんな人を相手に、どんなことを伝えるプレゼンを想定したのですか? またそれはどうやって決めたのでしょうか?
常にできるとは限りませんが、可能な限り、受講される方が「一番聞きたいこと」をアンケートなどで事前調査するようにします。アンケートですから、これで一本に絞ることができるとは限りませんが、質問内容を5つくらいに分類できれば一番良いです。こうしたものが手に入らなければ、「やる気」をテーマにした本に興味がある方がくるものと想定して、自分の書いた本で解決できるであろうこと(やる気になれない、仕事の先延ばし対策、人のやる気を出したいなど)を大きなテーマにします。
(後編に続く)
1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』、『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、『Life Hacks PRESS vol.2』、『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.