関係ない業種からも学べる人、学べない人3分で読める! 隣のヤツより成果を出す勉強術(2/2 ページ)

» 2009年03月09日 19時00分 公開
[水野浩志,ITmedia]
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仕事を抽象化しているか

 関係は作るものという気持ちの準備ができたら、早速関係作りに入りましょう。関係作りにおいて、一番重要なことがあります。それは、

  • 自らの仕事を抽象化しておく

 ということです。抽象化とは、大辞林によると「こと物の表層を、ある性質・共通性・本質に着目し、それを抽き出して把握すること」とあります。つまり、自らの仕事を抽象化しておくことは、仕事の目的や手順、作業、それぞれの性質や共通性、本質に注目してそれを把握しておくことにほかなりません。

 他業種から学びを得られない人たちのほとんどは、自分の仕事をあるがままの状態で理解しているだけです。そういった理解の仕方では、他業種から学ぶことはできません。なぜなら、自分の仕事に近いものにしか関係性を見い出せないからです。関係を作ることは、この自己を抽象化する発想と切っても切り離せないのです。

 こうして、自分の仕事を抽象化しておくと、目の前に現れるいろいろな事象をそのまま受けとめるだけでなく、その事象を抽象化して捉えられるようになるでしょう。すると、抽象化した自分の仕事にリンクするものが必ず見つかるものです。それを見つけたら、「自分の仕事に関係あり」として、その事象から役立つものを学んでいこうとすればよいのです。

 では、具体的にどういった形で抽象化するか? 1つの事例として、私自身の仕事を私がどう抽象化しているかをお話しましょう。

仕事を抽象化して考えると

 私は講師業として、社会人をメインターゲットにセミナー研修を行っています。多くの人は研修講師の仕事を、

  • 「求められる情報を大勢に解りやすく伝える仕事」

 と認識しているようです。それはもちろん間違いではありません。しかし、本当に自分の仕事はそれだけなのかと考えると、もっと抽象化することは可能だと考えました。では、講師の性質や本質とは何でしょうか。

  • 「人に何らかの情報を与え、その人の目的に影響を与えること」

 結局筆者は、上記のような考えにたどり着いたのです。こう考えてみると、こういった仕事は別に講師だけの仕事ではありません。人に影響を与えるもの全てが、自分のビジネスの糧になるわけです。

 特に映画、小説、ゲームといった物語的なものや、落語、漫才、マジックといった演芸など、エンターテインメントは、情報の宝庫であります。また、カリキュラムの論理的な組み立てや、結果を生み出すカリキュラムの構築手法などについては、プログラミング手法やシステム設計の考え方などが役に立ちます。

 ということで私の本棚には、自分の専門領域の書籍以外にも、漫画、ゲーム、映画やマジックのDVDや解説書、プログラム言語やシステム開発の本といった、一見すると、いったいこの人何やってる人なんだ? と思えるような、多種多様な資料にあふれているのです。


 ということで今回の結論です。他業種から学ぶために必要な、「関係はあるものではなく作るもの」「自分の仕事を抽象化しておく」の2点を常に意識し、世の中にある、ありとあらゆるものを自らのビジネスに役立てていってください。

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著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップやモチベーション創造、自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や講師としてのマインド、人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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