開発に携わった大学院生の王さんは「従来のオンライン会議の仕組みよりも、もっと幅広い視点からの意見を集める会議システムを考えていた」という。当初は会議の手法を研究し、もっと硬いやり方を想定したとのこと。
それが突然「押し付け機能」などのアイデアが出てきて、このシステムが一気に形になったという。振り返って思い出してもらうと、王さんが就職活動で耳にした「お客様の立場になって」というセリフが着想を芽生えさせた模様。日々の生活の何が研究の発想を広がらせるかは分からないものである。
今回のケースは、前回や前々回とは異なり、システムを創りだすことに大きな技術課題はなかったという。もっとも頭を使ったのは「押し付けるという機能のアイデアを思いつくところ」であった。
ITシステムにおいては、既存の技術で十分に新しいことができる、ということが興味深い。人間の認知特性を理解して、引き出すための仕掛けは、ITの先端技術を必要とするものばかりではない。
なお、現在は大学の研究室、いわゆるラボベースでのシステムだ。今後、商用化に向けてパートナー企業が登場するかもしれないが、こうした実用化の際に具現化の壁が登場するかもしれない。
「創造活動のためのユニバーサル・メディアの研究開発」がテーマの西本研究室。各人の無線タグと学内ブログが連動し、雑談コーナーにいる2人の雑談が促進される情報表示板があったりしてとても興味深い。「収束よりも発散的な議論が好き」(西本教授)。今後の研究にも注目だ。
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