『なぜ通販で買うのですか』――バーチャル時代の営業ノウハウとは藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

『通販生活』で有名なカタログハウスの創業者による『なぜ通販で買うのですか』。iPhoneやネットブックの普及によって、通信販売はいよいよ加速する。なぜ今さら通販? と思った人にもオススメな良書である。

» 2009年05月08日 17時30分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]

 通信販売雑誌『通販生活』で有名なカタログハウスの創業者である斎藤駿が著者の『なぜ通販で買うのですか』。通信販売の販売哲学が惜しみなく明かされている良書だ。

 なぜ今さら通販? と思った人は注意してほしい。iPhoneやネットブックの普及によって、これまでのモバイルに収まらない売り方はいよいよ加速する。そこに共通するのは非対面の販売方法であり、そのノウハウは最も伝統のある通信販売に秘められている。

使用価値を追究する

 体が納得する、使用時の価値に注目した売り方が通販成功のポイントである。斎藤はそう見抜いた。

 百貨店コンビニでは製品を数多く陳列するために、1つ1つの製品がいかに使われるかを説明するには限界がある。むしろ心理的にやや無理に購入させる方法が好まれてしまう。

 通販・ネット販売では、ユーザーが自分のタイミングで接するから、リアル店舗ほどには購入心理をかき立てることができない。そこで、体が本当に必要とする価値をアピールする必要がある。

 「モデルによる試着・試用風景」「徹底した商品テストの紹介」「有名人の体験談」が、通販においてよく使われる手法だという。確かにリアル店舗では分からない価値がよく伝わる。。

トップ営業マンの定義が変わる

 営業と言えば、人と人が関係するイメージを持つ人が大半だろう。これからは次第に非対面型の営業が増えていくはず。BtoBだろうが、サービス業だろうが、使用価値を重視して人に会わずに売ってしまう。そんな人がトップ営業マンと呼ばれる日は近い。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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