「朝ナマ」の田原総一朗さんに学ぶ――参加者同士の議論を活発にさせる質問術人を動かす話し方講座(2/2 ページ)

» 2009年05月11日 18時00分 公開
[水野浩志,Business Media 誠]
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マインド:誘導質問や参加者の立場の差に気をつけよう

 この選択質問は、参加者から意見を引き出すのに、非常に有効な方法です。しかし、それと合わせて、いくつかのリスクを持っています。

 その1つが、

 選択肢の設定によっては、進行役の誘導質問になってしまう


 ということです。自由な意見を語ってもらいたいという場合、質問の項目に、進行役の考えが入りすぎてしまうと、結果的に誘導質問となってしまうケースも出てきてしまうのです。

 そういった誘導質問をされる側は、その質問の裏の意図が見えてしまうと、自分の意見を言わないようになってしまいます。そうなると、実りある討議はできなくなってしまうでしょう。

 また、参加者の立場に差がある場合は、

 質問の順番を間違えると、自由闊達(かったつ)な意見ができなくなる


 ということにも、気を配っておくべきでしょう。

 例えば、質問をしていく順番を、参加者の中で一番ポジションの高い人から発言させてしまうと、後に続く人たちが、全て右にならえの意見となってしまう、ということも、選択質問の場合は起きてしまいます。

 そういった、参加者同士で発言に気を遣わせることのないように、立場の高い人の発言のタイミングは、十分考慮しなければいけません。

 場合によっては、最初のうちは発言を控えてもらい、ある程度議論がされた後で、ご自身の考えを述べてもらう、といったように、発言をしてもらうタイミングにも、気を配る必要があるでしょう。

 ことほど左様に、進行役の人は、場をきちんとコントロールしなければいけない立場にありますが、あくまでも、

 「進行役がコントロールするのは議論の内容ではなく、議論を有意義に進める場の雰囲気」


 であることを肝に銘じ、選択質問は答えやすさを演出する1つの手法として活用してくださいね。

著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップやモチベーション創造、自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や講師としてのマインド、人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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