無償版とどう違う? 企業向け「Google Maps API」提供開始

「Google Maps API Premier」の国内サービスがスタートした。「Google Maps API」に、企業向けの機能やサービスを追加。クローズドサイト内の表示や広告の表示/非表示の選択が行える。

» 2009年05月18日 15時19分 公開
[塙恵子,Business Media 誠]
photo 大須賀利一エンタープライズセールスマネージャー

 個人、会社とさまざまなサイトで利用されている「Google Maps API」。グーグルは5月18日、企業向けに「Google Maps API Premier」の国内販売をスタートした。

 これは、無料でWebサイトに地図を組み込めるGoogle Maps APIに、企業向けの機能やサービスを追加して、有償で販売するもの。


 「エンタープライズではデジタル地図のニーズが高い。インターネット上で使っているユーザーは多いが、企業の業務のニーズにも応えられる」(大須賀利一エンタープライズセールスマネージャー)

photo 企業向け地図サービスの市場動向

 有償版では、無償版では提供できなかった、公開サイト以外での利用(アクセス制限がある会員サイト、有料サイト、社内サイト、ファイアウォール内)や広告の表示/非表示の設定が可能になる。

 具体的には、従来同様に不動産案内や公共案内などに活用できるほか、流通や出荷時の車両追跡といった業務システムなど、内部の従業員が使用するアプリケーションに組み込んだり、広告の表示/非表示を選べる。

 「例えば、視覚情報を使って出荷またはサプライチェーンを追跡するサービスを提供できる。事故、故障、工事の状況などの対応も可能になる」(大須賀エンタープライズセールスマネージャー)

photophotophoto 全日空運輸では昨年夏ごろから先行してGoogle Maps API Premierを利用。旅情報を組み込み、サービスを提供しているとのこと(左)。海外での公共サービスとして、毎分の交通量の情報を公開したり(中央)、リアルタイムの車両追跡の例を紹介した(右)

 このほか、トラフィックが多いWebサイトでも利用可能な容量、https経由での地図の提供、サポート(英語のみ)などのオプションを用意し、99.9%のアップタイムを保証している。Google Mapsがサポートしているほとんどの国で利用できるという。

photo 有償版、無償版の違い

 なお、販売パートナーとしてゼンリンデータコムと提携したことも明らかになった。ゼンリンデータコムでは現在、ゼンリンの地図データベースを活用し、企業向けに「emap」ブランドで位置情報製品およびサービスを展開している。

 「昨今のGoogle Maps APIの利用者の増加を受け、顧客から業務でも利用できるよう、サポート体制や、稼働保証を要望する声が高まってきている。Google Maps API Premierの販売により、emapとGoogle Maps API Premierを組み合わせて利用できるなど、さらなる製品ラインアップの拡充を図りたい」(ゼンリンデータコム

 ゼンリンデータコムによると、日本におけるGoogle Maps API Premier販売価格は年間50万円から。外部向けのWebサイトで公開する場合は、ページビュー(PV)単位で、内部向けの場合はアプリケーションを使用するエンドユーザー数や、追跡する車両数などに応じて価格が変動する。

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