茂木健一郎氏は、若手起業家に向かって「女性の方がレベルが高い」と説いた。化粧が女性のレベルを上げているという。
ベンチャーエンタープライズセンターとアメリカン・エキスプレス財団が共同で、若手起業家のためのリーダーシップセミナーを5月22日、23日の2日間開催した。参加者はベンチャーエンタープライズセンターが主催する、35歳以下の起業家表彰制度「DREAM GATE AWARD」において、2007および2008年度にノミネートされた若手起業家26人。
初日、ゲストスピーカーに脳科学者の茂木健一郎氏を迎えた。茂木氏が若きリーダーたちに向かって発した言葉は、非常に鮮烈なものだった――「女性の方がレベルが高い」と。
この日参加者のほとんどが男性の起業家だった。そんな中、茂木氏は“化粧”の話を始めた。「女性が化粧する舞台裏をご覧になったことはありますか?」
化粧の話とはいえ、茂木氏らしく「化粧するときの脳」についてのようだ。「女性はよく考えていますよ。女性の方がレベルが高い」と茂木氏。女性としては褒められてうれしいところだが、どのあたりがすごいのか。筆者の場合はこれまで化粧のことで褒められたり、化粧をすることで会社に貢献したと感じたことはないが……。
「自分を見つめる作業は非常に大切なんです。欧米に比べ、日本は自画像があまりなく、自分を見つめる作業をしていない。しかし女性は化粧をするとき、自分が他人にどう見られているかを受け入れる。その上で、欠点を改善しようとする。女性はこの作業を毎日やっている。これはすごいこと」(茂木氏)
なるほど。当たり前の作業だったが、そう考えるとすごいことのように思える。寝坊して化粧もほどほどに出社……なんてことも多かった自分を顧みて反省した。とても重要な作業だったとは。
「女性の脳は化粧をすると変わります。顔の表面だけではなく、脳活動も変わっている。素顔で歩ける範囲は決まっていたり。化粧ちゃんとしていると“にこっ”と笑うが、化粧があまりうまくいっていないと目をそらすように(笑)」(茂木氏)
茂木氏が31人の女性の脳の活動を調べたところ、「女性は素顔の自分の顔は自分の顔、化粧をした自分の顔は他人の顔だと思っている」という結果が出たという。女性は化粧をした顔は社会的なものだと感じているそうだ。茂木氏はこれを会社に当てはめてみることが大切であると説明した。
「会社は自分のものではなく、客観的なもの。女性は“自分の顔を客観視”している。女ってなんてすごいんだろう」(茂木氏)
世の女性たちは起業家の見本なのだ。見本も頑張らなければならない。
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