『かもめのジョナサン』――働くことの意義を見直す藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

1羽のかもめジョナサンが、生きることの意味を探究する物語『かもめのジョナサン』。働くことの意義を気付かせてくれる。

» 2009年05月29日 12時30分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]

 「重要なのは食べることよりも、飛ぶことだ」――。1羽のかもめジョナサンが、生きることの意味を探究する物語が『かもめのジョナサン』。米国の小説家リチャード・バックが1970年に発表し、ヒッピー達の口コミから広がり、全米で1500万部のベストセラーになった。

ジョナサンの生き様

 3部構成、100ページほどのストーリーに、人生とは何かを考えさせられる。

 所属中のかもめ集団からジョナサンが離脱する第1部から話は始まる。ただ食べるだけの生活に嫌気がさして、どこまで速く飛べるかの限界に挑戦したくなるのだ。第2部では、自分より速い師匠達について飛行訓練を続ける。そして、隠れた力に気づいた瞬間、ジョナサンは1つ上のレベルに達する。第3部では自分を追放した仲間たちのもとに戻る。次の世代である若きかもめに、自分の気づきを伝えるために。

働くことの意義とは何か

 ジョナサンを読んで会社を辞めた人も多いそうだが、それは慌て者だろう。自分にとっての「コミュニティ」とは、家族であり地元であり日本である。そうした原点を離脱し超えるためにこそ、会社で働いているのだと考えたい。そこで仕事の師匠たちから教えを受け、次第に力をつけ、やがてジョナサン同様に原点へと戻る。そこでの次世代とは、自分の子供であり地元の若者達だ。マネーを稼ぐのでも自己成長でもなく、次へバトンタッチすることこそ働くことの意義だと、ジョナサンは気づかせてくれる。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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