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» 2009年06月01日 14時00分 UPDATE

人を動かす話し方講座:こうすれば相手は喜ぶ――“オモテとウラ”で人をほめるトーク術

コミュニケーションの現場では「人をほめることはとても重要である」と言われています。テレビのグルメリポーターたちのコメントから、相手に喜ばれるようなほめ方を考えてみましょう。

[水野浩志,Business Media 誠]

 最近、コミュニケーションの現場では「人をほめることはとても重要である」と言われています。しかし実際は、上手に人をほめられる人はなかなか少ないようですね。ということで、今回はほめられた相手が喜ぶような人のほめ方について考えてみましょう。

グルメリポーターのトークにはパターンがある

 テレビを見れば、どこの局でも料理店を紹介する番組をやっていますよね。一流の名店と言われているところから、庶民派のお店まで、色々なお店の料理が紹介されています。

 料理というのは見た目も大事ですが、何よりも重要なのは味であります。しかし、これは映像だけではきちんと伝えられない。そこで登場するのが、グルメリポーターという人たち。

 私たち視聴者は、テレビで見ただけでは分からないその料理のおいしさを、彼らのコメントから知ることとなるわけです。つまり、この番組が視聴者から支持されるかどうかの命運は、グルメリポーターのコメントにかかっている、といっても過言ではありません。

 グルメリポーターだって、自分の表現によって今後の仕事が決まってくるわけですから、いかにおいしそうに味を表現するかということについて、徹底的に考え、テクニックを磨いているんですよね。

 そんな、グルメリポーターたちのコメント。個性豊かでバラエティーに富んでいるように聞こえますが、実は、皆さんほぼ全員がよく使っている、おいしさを表現するための鉄板トークというモノがあるんです。

テクニック:オモテとウラの魅力を表現しよう

 多くのグルメレボーターが使う鉄板トーク。それは何かというと、

  • 正反対の味が含まれていることを表現する

 というもの。例えば、

 「辛さと同時に、甘さも口の中に広がって……」

 「辛味の中に、ほのかな甘味が……」

 と、「辛さ」と「甘さ」という、正反対の味がひとつの料理に混在していることを言葉にするんですよね。すると聞いている私たちは、その料理がなおのことおいしそうに感じるようになるわけです。

 この料理のおいしさを表現するテクニックは、人をほめる時のテクニックにも、そのまま使うことができます。例えば、

 「強さの中に、繊細さがある」

 「クールに見えるけど、情熱が感じられる」

 「厳しさと同時に、優しさもある」

 といったように、その人の印象を表現するとき、一見相反しているような要素を同時に盛り込むわけです。

 すると、あなたのコメントは、その人の人間としての幅の広さや奥深さを表現してあげることになり、言われている本人も喜び、周りの人もその人に対しての見方が良い意味で変わってくることもあるわけです。

マインド:相手をきちんと理解することが肝心

 ここでのポイントは、ほとんどの人は「外に見せている魅力と、あまり人に見せていない魅力というモノがある」ということ。そして、外に見せている魅力に関しては、しょっちゅう人から言われ慣れているので、ことさらあなたが取り上げたとしても、大してうれしくもないわけです。

 でも、自分が人に見せていない魅力というのは、なかなか他人には気づいてもらえなかったり、へたすると自分自身でも気づいていなかったりします。そんな「その人の隠された魅力」というものを、外に見せている魅力の部分と併せてさりげなく指摘してあげると、効果があるんですよね。

 とはいえ、「正反対の要素を含んだ表現」というものをやればいいのだといって、適当に正反対のことを言えばいいというわけではありません。本人が納得しなければ、喜ぶどころかかえってまずい状況になってしまうことにもなりかねないのです。

 重要なのは、ほめようという人の「見えている魅力」に目を奪われず、

  • オモテの魅力に隠れてしまっているウラの魅力

 を見つけるようにその人を見てあげる必要があることです。そして、ほめられてうれしいと思える本当のほめ言葉というものは、この「その人のすばらしさを見つけ出そうとする心のベクトル」によって生まれてくるんですよね。

 ほめることが苦手な人は、実はこの心のベクトルがないままで、うわべの言葉面だけでほめてしまっている傾向にあります。だから、ぜひオモテの魅力だけでなく、その裏側にあるもう1つの魅力を見つけ出してみてください。

 また、もし「オモテの魅力もないからほめられない」という人がいたとしたら、相手の一番目立つ短所を裏返し、長所として捉えたらどう表現できるかを考えてみてください。

 短所だって、解釈を変えれば立派な魅力になるはずです。あなた自身の見識やもののとらえ方の幅を拡げるためにも、ぜひそういった人の見方に取り組んでみて下さい。

 こうやって、相手の隠れた魅力を見つけよう、という視点で周りの人を見ることができたら、きっとそこでの人間関係はギスギスしたものにはならず、ストレスのない環境になることでしょう。

 最近はストレスの多い職場が多いと聞きます。その状況を変えるためにも、まずはあなたから、周りの人をほめることに取り組んでみてはいかがでしょうか。

著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

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 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップやモチベーション創造、自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や講師としてのマインド、人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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