アイデアを判断することと生み出すことは違う――「超店舗検索」鈴木さんひとりで作るネットサービス(1/2 ページ)

ケータイのGPS機能を使って近くで開いているファストフードやコンビニを検索できる「超店舗検索」を作った学生チームで、代表を務める鈴木さん。使いやすさを向上するための秘訣は「自分が信頼する、センスある人たちを見つけること」だという。

» 2009年06月05日 15時00分 公開
[田口元,Business Media 誠]

 ひとりで作るネットサービス第43回は、ケータイのGPS機能を使って近くで開いているファストフードやコンビニを検索できる「超店舗検索」を作った学生チームを紹介する。今回お話を伺ったのは代表の鈴木顕さん(22)。ビジネスプランコンテストで知り合った仲間とWebサービスを立ち上げ、現在は起業まで果たした彼らは何を目指しているのだろうか。

いきなりPHPの本を渡され「とりあえず作ってみろよ」

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 「とりあえず作ってみろよ」。システムに詳しかった柴山さんから急にそう言われて鈴木さんは驚いた。「え……?」と思っているとPHPの本を渡された。「じゃ、よろしく」

 超店舗検索のコンセプトを考え付いたのは柴山さんだった。柴山さんは昔から「ケータイのGPSはやばい」と主張していた。「これで近くのスタバとか検索できたら便利だよ、きっと」。そう思いついた柴山さんは自分でプロトタイプを作って鈴木さんに見せてみた。「GPSなんか使うかなあ」と半信半疑だった鈴木さんもそのデモを見て一気に引き込まれた。「いいね、作ってみようよ」

 そう盛り上がったところでいきなりPHPの本を柴山さんから渡された。てっきりシステムは柴山さんが作るものと思っていたのでびっくりした。「彼は彼でほかのプロジェクトで忙しかったので……。あと僕に勉強させたかったのではないでしょうかね」。鈴木さんはそのときの思い出をそう語る。もともと理工系だったのでC言語などは多少できたが、Webプログラミングは初めてだった。「でも始めてみたら意外とはまっちゃって……」。結局、超店舗検索はほとんど鈴木さん1人で作ることになった。

 PHPの本を読むことから始めてコツコツとシステムを作り上げていった。分からないことがあったらすぐに検索した。最初は慣れなかったが、徐々に「検索するコツ」が分かってきた。「だんだんとすぐにサンプルコードにたどり着けるようになっていきました。コツはそのサンプルページにありそうなキーワードをいかに想像するか、ですね」。また「はてなの人力検索」もよく使った。「自分で質問することはなかったのですが、ほかの人のやりとりで参考になるものが多々ありました」

 サンプルコードを検索し、試行錯誤をしながら実装していくことで、だんだんと超店舗検索の形が整ってきた。ある程度できたところで柴山さんにも手伝ってもらい、データベースを充実させた。ケータイでのテストは大変だったが、友達に協力してもらい、細かいバグをつぶしていった。またそのころにはもう1人のメンバー、野口さんも加わり、デザインやブログを手伝ってくれるようになった。

ビジネスプランコンテストで人生が変わる

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 すべては大学2年生のときに参加したビジネスプランコンテストがきっかけだった。「実は当時、失恋してしまいまして……ゾンビ状態だったのですが、これではいけないと思って参加してみたのです」。ビジネスプランへ参加したことは鈴木さんの人生を大きく変えた。鈴木さんの言葉を借りると「心に火がつく感じ」だったという。「1カ月間、仲間と一緒にビジネスを創り上げていくという夢を見ることができました。これは主催者側の努力があったからだからと思いますが、その場にいると『僕にもできるかも!』『何かやらなくちゃもったいない!』という気持ちになるのです」

 ビジネスプランコンテストでは事業計画書の作り方、論理立てて考える思考法、そして何よりも普通に生活していたら絶対出会えないであろう仲間と出会えた。柴山さんとはそこで出会って意気投合し、そのコンテストが終わった後も「何かやろうよ」とよく会うようになったという。

 後輩にもビジネスプランコンテストへの参加を強く勧めたい、という鈴木さん。「映画を見てモチベーションが上がることってありますよね。その“すごいバージョン”だと思ってもらえればよいかと思います。ただ、もちろんいろいろな人がいるのでときには注意する必要もあります。名刺をもらったら検索するぐらいの用心深さも、ときに必要だとは思います」。鈴木さんはビジネスプランコンテストについてそう語る。

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