アイデアを判断することと生み出すことは違う――「超店舗検索」鈴木さんひとりで作るネットサービス(2/2 ページ)

» 2009年06月05日 15時00分 公開
[田口元,Business Media 誠]
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アドバイスは「ケータイを使わない叔母」にもらう

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 初めてのWebサービスをリリースし、ユーザーからの声も集まるようになってきた。「こういうお店も検索したい」といった要望をはじめ、「引っ越ししたばかりなのですが、とっても役に立っています」といったお礼のメールまで、たくさんの声を吸収しながら、サービスは日々成長していっている。

 「一番こだわっているのは使いやすさです。はじめての人でもさっと使えるようなものを目指しています」。そのために鈴木さんが心がけているのは「鋭い意見を言ってくれる、信頼できる人を見つけること」だという。鈴木さんの場合、一番信頼しているのは叔母だという。「叔母はケータイを使わないのですが、昔からセンスが良いのです。僕は昔写真をやっていて、そのときにいまいちだと思った写真があったのですが、叔母のアドバイスでコンテストに出してみたら入賞した、ということもありました」

 サービスができたら叔母に見せ、アドバイスをもらう。「分かりにくい」「使いにくい」「こうした方がいいんじゃない」。手厳しい意見で一刀両断されるが、彼女のセンスあるアドバイスはサービスの細かいところに活かされていった。「何が使いやすいか、どれが良いか、という判断をすることには自信があります。でも自分で判断することと、自分でアイデアを生み出すことはまったく違います。そうしたアイデアを叔母をはじめ、何人かの信頼できる人から教えてもらうようにしています」。サービス改善の秘訣について鈴木さんはそう語る。

 また、逆にケータイのヘビーユーザーである弟や妹にはあまり意見を聞かないという。「彼らはたくさんのサイトを使っているのでどんなサイトでも使いこなせるのです。何を聞いても『いいんじゃない』と答えられてしまいますから、あまり参考にならないのです」。鈴木さんは笑いながらそう教えてくれた。

ほかの企業とどう付き合っていくかがカギ

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 2008年5月には超店舗検索を法人化し、野口さん、柴山さんとともに本格的に起業することにした。柴山さんはそれまで大学の寮に住んでいたので、卒業と同時に鈴木さんの家に転がり込むことにした。「起業して分かったのはビジネスプランコンテストで作っていた事業計画書と現実とは大きく違うということです」。コンテストでは気づかなかった書類の書き方、税金の払い方など、勉強すべきことが目の前に山のように積みあがっていった。「今は祖父が持っている家の2階に住まわせてもらっています。起業したとはいえ、自分たちの力はまだまだです。今はとにかく自立しなくては、という気持ちでいっぱいです」

 ただビジネスプランコンテストで学んだ企画書や提案書の書き方は大いに役立っている。超店舗検索に興味を持ってもらったいくつかの企業とはすでに提携を果たした。「超店舗検索のモデルではユーザーに課金することはできないでしょう。だからほかの企業とどう付き合っていくかが重要になります」。そのために今まで学んだ知識を総動員していくという。

 企業との提携も視野にいれつつ、超店舗検索のバージョンアップに日々取り組んでいるという鈴木さん。現在検討しているのは「回転すし」を検索対象に含めることだという。「自分では今まで行ったことがなかったのですが、回転すしを検索したいというニーズは多いですね。そこでこの前自分でも行ってみたのですが、600円ぐらいですごく満足することができました。こうしてユーザーに教わることが多いのもサービスを運営する楽しみですね」

 「要望があったらすぐにメールをください!」と言う鈴木さん。「僕たちはこの画面の向こう側にいます。どんなご意見でもお聞かせください」。ユーザーの意見を取り入れて成長していく超店舗検索の今後が楽しみである。

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