謎解きにはドラマを作ろうプロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術(1/2 ページ)

人は意外性を感じた情報はよく記憶するものです。「えーっ、そうなんですか!」こんな言葉が自然に学習者から出てくるような、そんな演出を考えてみてください。

» 2009年06月04日 17時45分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]

 前回は、「ガラパゴス諸島は赤道直下なのになぜか暑くない」という「なぜ?」を題材に、学習者が疑問点を自ら発見したかのように錯覚できる「体験再生型トーク」について書きました。

予想を裏切るポイントをハッキリ示してあげること

 今回はその疑問点の謎解きです。単純な解答としては、

  • 疑問:ガラパゴス諸島は赤道直下なのになぜ暑くないの?
  • 解答:南極からフンボルト海流という寒流が流れてきているため

 というのがその答えになりますが、これをそのままストレートに「解説」するのもちょっと芸がありません。何か1つドラマチックな演出をしたいものです。そこで、例えばこんなのはいかがでしょうか?

「フンボルト海流の長い旅」(前編)

講師 じゃあ、今からある動物の名前をいくつか書いていくね。

何の動物のことか分かったら答えてね。

「ガラパゴス」「フンボルト」「マゼラン」

学習者 マゼランって船で世界一周した人ですよね?

講師 そうだよ! その「マゼラン」の名前がついている動物がいるんだよね。分かるかな?

学習者 うーん……。

講師 じゃあ続けていくよ。

「アデリー」「コウテイ」

このへんで分かるんじゃないかな? どう?

学習者 ……ペンギン、ですか?

講師 そう! ペンギンなんだよ!!

学習者 確か南極のペンギンがコウテイペンギンって名前でしたよね?

講師 そう、コウテイペンギンとアデリーペンギンは南極に棲んでるよ。

学習者 え、それじゃあ、ガラパゴスペンギンっていうのもいるんですか?

講師 そう、いるんだこれが。

学習者 ガラパゴス諸島にですか? 赤道直下の?

講師 そうなんだよ! 赤道直下にペンギンが棲むってわけ!

学習者 えーっ、そうなんですか! ……ペンギンなんて南極のイメージなのに!

講師 そうでしょ、意外だよね?

学習者 意外です……!

 ペンギン、というとたいていの人は「南極に棲む鳥」というイメージを持っています。そのため、ガラパゴス諸島という赤道直下にもペンギンがいる、という話は意外性を持って受け止めてくれる可能性が高いんですね。人が意外性を感じたときに出てくる代表的なセリフはこれです。

 えーっ、そうなんですか!


 こういう言葉が自然に出てくるような、そんな演出を考えてみてください。人は意外性を感じた情報はよく記憶するものです。ですから、予想を裏切るポイントはハッキリ示してあげなければなりません。

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