ここまで、さまざまな目的向けに、無料で使えるデータベースの使い方と発想の仕方を紹介してきました(※)。これらの方法は、「アイデアが出にくい」というときにはもちろん、それ以外にも「考えてはみたものの、そのアイデアに自信がもてない」と感じるようなときにも有効です。
ところで、これまで紹介した方法で適当なものがない場合はどうすればいいのでしょうか。この場合、2つの解決方法があります。1つ目は、自分で「発想の材料集」となりえるデータベースを探し活用することです。「これは発想の材料として使えないだろうか」という目でいろいろなネット上のサービスを探してみてください。タウンページや商標検索のような、一見しただけでは「発想源」とは思えないものからでも見つけることができるでしょう。2つ目は、資金・時間と思い切りが必要ですが、「本棚の電子化」という方法です。これは、以下のような手順で実行できます。
ステップ | 実行内容 |
---|---|
ステップ1 | 自動で紙束の両面を読み込む機能のあるスキャナを用意します。 |
ステップ2 | 裁断機を用意します。 |
ステップ3 | 発想の材料となりそうな書籍をバラしてスキャナで読み込み、外付けHDDに保管します。 |
ステップ4 | 画像データ化された書籍の本文を、OCRソフトでテキストデータ化します。 |
ここまでで、「本棚の電子化」は完了です。時間の目安としては、書籍1冊あたり10分くらいです。本棚の本すべてをテキストデータ化する必要はありません。あなたの発想のテーマに沿ったカテゴリの書籍だけを読み込めば十分です。
次に、その「外付けHDD」を検索対象にして、発想の材料としたい言葉で検索します。PDFファイルの中のデータを対象に検索する場合は、スキャナに付属するソフトウェアなどを使うと良いでしょう。
この検索結果リストは、膨大な書物内の情報から、その単語を含むページを探してくれます。例えば、あなたの発想したいテーマが「組織のコミュニケーションをもっと高めたい」であれば、「コミュニケーション」もしくは「会話」でHDDを検索します。すると、書籍、雑誌でその単語が使われている部分がずらりと表示されます。これらを見れば自然と発想が生まれてきます。
この方法は、書籍をバラバラにするため、「もったいない」と感じるかもしれませんが、その書籍が1回でも、あなたの創造的な活動に役立つことになれば、支払った費用に見合うでしょう。特に、半年以上「積読」になっているような本は、「発想の材料となるデータベース」として最適です。あなたの読みたかった内容を、読みたいときに検索して引っ張り出せるようになります。
なお、裁断して読みとった後、その書籍は基本的には保管せず、資源ごみとしてリサイクルに回します。ただし、どうしても保管したいものは箱に入れておいて構いませんが、それを取り出すことは実際にはほとんどありません。もし取り出して書籍として使用する場合は、パンチで穴を4つ開けて、そこにひもを通します。古い書物のような雰囲気になってしまいますが、十分書籍として使えます。
また、ネット上で見つけた優れた調査資料を大量にプリントアウトしてしまい、本棚のスペースを占領することがあると思います。その場合には、出力する代わりに「本棚の電子化」HDDに入れておけばそれでOKです。アナログで統一する代わりに、デジタルで統一する感じです。
HDDに入れた書籍は、表紙だけはクリアファイルなどに入れて保管しておくと良いでしょう。物として一部を残すことで、その書籍の存在を思い出しやすくなり、同じものをあとで買ってしまうといったことも避けることができます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.