いま掃除しかできないんだったら、掃除をやるしかない――創造的選択インタビュー全文公開(前編)達人のクリエイティブ・チョイス(3/6 ページ)

» 2009年07月22日 21時00分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]

直感的に「イケる」と思わないものは、いくら説明を受けてもダメ

カヤック柳澤さん

堀内 直感というと何となく柳澤さんに聞きたくなっちゃうんですけど。

柳澤 直感!?(一堂、笑)なんだろう。冒頭のこの質問は僕も見たことがありましたね。同じ本かどうかは覚えてないのですが。で、そのときも、このときも一応、この通りの回答をしましたね。それは何故かというと、やっぱり「クイズで出てるから直球で答えたらダメなんだろうな」という思考がもう最初からあるから(一堂、笑)。

 僕らはアイデアをたくさん出すということをやっているんですが、それは色んな可能性をさぐることと言い換えることができます。例えば、そもそもこの旧友が運転免許証を持っていなかったら、と考えるじゃないですか。持っていなかったらどうしようもないわけだから。4人乗るとか、同じ車にどうやって乗るかとか、その辺の車をどうやって拾うかとか。あらゆるシミュレーションのアイデアを出しちゃうという傾向にあるんですよ。

 最初に読んだときも出しましたし、今回も出したのですが、2人雨の中に残って話すというのは冷たいし、むしろ全然口説けないんじゃないのか、と。(一堂、笑)だからそれじゃない案も含めて考えちゃうっていう傾向にありますね。

堀内 うーん、すごいね。それはもうある種の訓練というか。

柳澤 妄想ですよね(笑)。アイデアを出し続けることで元気になるということが分かっているから、社内でも頻繁にアイデア出しの会議、ブレスト会議をやってます。どうせクイズっていうゲームなんだから、次々に新しいことをやる。

堀内 直感で、いろいろ答えというか案を出しますよね。でも、例えば細谷さんはコンサルタントなので、何か提案する時に「自分の直感でこれがいいと思います」と言えないわけですよね。そういう時はどうやってその直感を正当化するというか。

細谷 まあ、どういう選択肢を選んでも理由って付けられると思うんですよね。変な話。正解は多分ないので。どれだけ思い込むかという話。本の中でもそうだったんですけど、後付けの理屈なんていくらでもできちゃうと思うんですよね。

柳澤 だから直感的に正しいことは後で議論がついてくると思うし、いくら理由がしっかりしてても直感的に不自然なことは聞かない、という人もいるでしょ。絶対に。

堀内 柳澤さんの場合、直感の判断は面白いかどうか?

柳澤 うん、面白いかどうかっていうのはありますけど、直感的に「これはイケる!」と思わないものは、いくら説明を受けてもピンとこないんです。こういうプロジェクトを立ち上げたいと言われても、直感的になかったらそこから数字のシミュレーションは一切聞かないですね。なぜなら、数字はいくらでも論理的に組み立てられるから。

堀内 あー、なるほどね。なんかそういう直感ありきで……。

柳澤 最初に直感ありきで、そのあと始める。

堀内 なんていうかな、その直感の精度を上げるとか、鍛えるということは意識してやってます?

柳澤 うーん、ないですね(笑)。精度が上がるってものなのかなあ。

誠 Biz.ID 先ほど言っていた、アイデア出しをいつもしているというのは、そういうトレーニングにならないんですか?

柳澤 あるとしたら、恥ずかしがらないこと。とにかくたくさんアイデアを出す。失敗を恐れない。すごく概念的な話ですけど、「格好付けずにとにかくアイデアを出してみる」この繰り返しで精度が上がるってことはあるでしょうね。それを躊躇するから、みんな。

誠 Biz.ID 直感的に面白いと思っていても恥ずかしいことってあるんですか?

柳澤 直感が外れる時(笑)。外れるんですよ。たいていは。でも、外れない限り直感力って、絶対上がってこないから、結局、何回外してきたかっていうことに言い換えれるかもしれませんね。直感力の精度をあげるということは。

堀内 いろいろ量を出してみて、淘汰があって、当たっていたな外れていたな、その繰り返しで何となく。

柳澤 そうそう。そういう意味ではアップしていくというのはあるんでしょうね。

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