タイムカードは導入しない――創造的選択インタビュー全文公開(中編)達人のクリエイティブ・チョイス(2/4 ページ)

» 2009年07月23日 20時00分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]

全部の選択肢を知って選んでいくという強い意志

堀内 インタビューしながら、そんな簡単に人は集まらないでしょうとウスウス思ったんですが、鎌倉に本社を置くという事実が人を集めちゃったのかなと。1年くらいたってから聞いたらもう50〜60人集まっていましたね。

柳澤 それは鎌倉だけが原因じゃないと思いますけど、1つのフックにはなっているんでしょうね。

堀内 人を集めるには鎌倉がいいと思った計算もあったんじゃない?

柳澤 ないですね(苦笑)。逆に、鎌倉じゃ嫌だ、通えない、という人もいるわけですし。

堀内 確かにねー。こだわりが求心力になる一方で、こだわることによって、制約も受けるんじゃないかと思うんですけど。

柳澤 うーん制約……、結局自由な組織を作ろうとすると、自由の定義というか、多くの視点、多くの価値観、多くの考え方をできるだけ知って、いろんな見方ができるようになっていって、そのなかで自分がこれを選択するというのがもっとも自由な状態だと思っています。あらゆる考え方をそれぞれの立場になって考えるというのを常にやらされる組織ですし、会社ごとを自分ごとのようにとらえるというのもその一環。

 とにかく情報をオープンにしていく。僕の考え方、社長の考え方、そのほかの人の考え方。それをとにかく徹底的にオープンしていくっていう感覚なんですよ。制約があるというか元々制約はあるんで、全部の選択肢を知って選んでいくという強い意志でやる。この選択肢が少ないんですよ、みんな。アイデアをいっぱい出してないから。

堀内 会社ごとと自分ごとっていい言葉だと思うんですけど、会社ごとと自分ごとをつなげるようなこと、意図的に何かやってますか。

柳澤 社員全員で半年に一度「ぜんいん社長合宿」という経営理念を振り返る合宿をやってますね。また、それとは別にイベント的なことをすごくやっています。仕組みとして取り組んでます。

堀内 社長のように考えろという。

柳澤 しょっちゅうやりますね、社内のイベントというのは。ブレストも1つ。単純に、会社にどういう制度があったらいいのかみたいなブレストをしただけでも、効果があります。その制度が導入されるかどうかは別にして、考えるってだけでその時点で会社ごとを自分ごとにしている。新しい給与の仕組みを考えろって200人ぐらいの会社だと一番下の人たちは普通考えないでしょう。それを考えろってだけで十分。

堀内 細谷さんのクライアントは大企業が多いと思うんですけど、当事者意識を持たせるというのは難しいテーマですよね。

細谷 社長の意識で、あるいは1つ上の立場で考えろというのはよく言いますけどね。それはまさに目的を1コあげろというのと基本的に同じですよね。究極的には会社の目的=社長の目的だから、1コ上の目的から考えよという話。なかなかできないですよ。実践しているところがスゴイと思います。

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