インタビュー
» 2009年07月24日 12時30分 UPDATE

達人のクリエイティブ・チョイス:自利利他とオープンソース――創造的選択インタビュー全文公開(後編) (1/6)

自分の利は他人の利である――自利利他、最澄の言葉だ。「自分の利益のために利他的な行動をするという、ある種、利己的なことが利他的な行動」。これはオープンソースにもつながるという。

[鷹木創,Business Media 誠]

 困難な選択を迫られたとき、あなたならどういう選択肢を創り出し、選ぶだろうか。そんな“クリエイティブ・チョイス”の実践者に聞く『達人のクリエイティブ・チョイス』。書籍『クリエイティブ・チョイス』の読者、そしてアイデアや発想に悩む誠 Biz.IDの読者にヒントを与えてくれそうなインタビューを掲載してきた。そのインタビュー全文を掲載したい。今回は最終回。

 『クリエイティブ・チョイス』の著者である堀内浩二さん(アーキット代表)をはじめ、『地頭力を鍛える』の細谷功さん、“面白法人”カヤックで代表を務める柳澤大輔さん、博報堂生活総合研究所の吉川昌孝さんらに聞いた。

st_cc01.jpg 『地頭力を鍛える』の細谷功さん(左)とカヤックの柳澤大輔さん
st_cc02.jpg 『クリエイティブ・チョイス』著者の堀内さん(左)と、博報堂生活総合研究所の吉川さん(右)

「第三の安心」と自利利他とオープンソース

堀内 「第三の安心」を僕の理解で簡単に解説するとですね。第三の安心ていうのは第一、第二があっての話なんですね。第一の安心が「じぶん定め」。自分の安心を自分でどうやって作るのか。これがバブル後起きたムーブメント。その次が第二の安心「まわり固め」ですね。家族、仲間、地域生活。自分の身の回りの安心をどうやって確保するか。第三の安心が「しくみ直し」。個人がどうやって世の中に働きかけて、世の中をどう直せるかにだんだん意識が向いているんじゃないかという話。

吉川 そうですね。第一も第二も今もあるし、第一だけで行っている人もすごくいっぱいいるし、第二のことで精一杯という人もいっぱいいる。格差の話があるんで第一が精一杯という人も多いと思うんですけど、全体としてデータもそうだし、世の中で起こっていることや僕らの直感で「社会の方に向かっているよね」ということ。

 重要なのは急に犠牲的精神を払うようになったとか、ボランティアをやるようになったということではなくて、結局ここ(じぶん)の栄華をバブルで体験しちゃった人がほとんどなわけで、ここ(まわり)を安心させるためには結局ここ(しくみ)が揺らいでいるといつまでたっても安心しないじゃないか、という風に意識的にか無意識的にか思っているというのがこの動きを支えているんじゃないかというのが第三の安心のミソ。

 というのは、全員が「ボランティアだ」とか、全員が「被災地に行ってみんなで助け合おう」と言っているのかというと、調査してもそこまではいない。5%いないんですよ。3%とか2%とか。ほとんどの人は日常のちょっとした「ペットボトルのキャップを集めてます」とか、「どうせなら社会貢献商品を買うようにしてます」というのが20%を超えていくんですね。そういうちょっとしたことだと。

 そういう意味でいうと、たとえものすごく経済的な窮乏があったとしても、それでも消費はしなくちゃいけない時にどっちかといったらそっちにしたほうが、自分が生きていく上でこっちがちょっと安心するならそっちに行こうよというような狙い。

 結局自分のためだ、っていうのでそういうことをつらつら議論して考えていて、答えを出さなきゃと考えている時に、堀内さんがメルマガで「最澄がジリリタということを言っています」と。

堀内 自利利他ね。

吉川 そうそう、自分の利は利他(他人の利)であるという。で僕、講演の時に言うんです、「実は最澄がですね、」って。

堀内 あらためて言われると、ジジくさいこと言ってる感じだなあ。

吉川 ただ、自利利他というのは利他的に急になったのではなく、自分の利益のために利他的な行動をするという、ある種、利己的なことが利他的な行動だというかなりクリエイティブな行動を生活者はし出しているんじゃないかな。それは無意識的に。

 もったいないなと思うのは、企業は企業で、CSRだって社会責任みたいことをいわれてて、やってはいますけど、本業と関係ないところで急に木を植え始めるとか、海をキレイにし始めるとかいうのが、僕は生活者の共感を得られていないと思っています。

 というのは生活者は生活者でやっているわけです。ちょっとでも社会にいいことをしようと。この動きを企業の本業で増幅してあげるようにするのが必要なんじゃないか。それがCtoB。BtoCじゃなくて、Bがモノ・サービスをCに提供するんじゃなくて、Cが起こしている動きをBが取り込んじゃえ、それでBの持っているリソースでそれを増幅しないと、社会の土台は再建しないよ。だからCtoBで巻き込んで、企業の技術力や企業の巨大な流通網で直していこうと。

 そういうケースはいっぱいあるじゃないですか、社会起業家も含めて。ちょっとした動きですよね、まだ。現地限定だったり、まだまだちっちゃいのを企業が増幅しようと。そういうつきあい方を生活者と企業がしていこうよ、というのが企業にとってクリエイティブなんじゃないか。

ただ、BtoCモデルは歴然と残るので、企業同士そこでの戦いもあるけれども、加えてCtoBというモデルを企業がどれだけ作れるかというのがこれからの企業の在り方なんじゃないのという考え方。

細谷 オープンソース的な。

吉川 そうですそうです。すごいオープンソースだと某通信事業者でお話ししたときに言われた。「オープンソースですね、吉川さん」「その通りでございます」と。

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