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» 2009年08月04日 10時00分 公開

アイデア・スイッチ:“1人ブレインストーミング”4つのルール (4/4)

[石井力重,Business Media 誠]
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プロ仕様の2段階ブレスト「先what後howアイデア出し」

 ひらめき、斬新なアイデアの材料を圧倒的に思いつきやすくする方法を紹介します。1人でアイデア出しをするときでも、ほかの人とブレストをするときでも、ぜひ試してみてください。

 このやり方の本質を一言でいうと、「2段階(whatとhow)に分けて発想する」ことにあります。20分のアイデア出しを行なうとき、最初の10分では、「こうだったらいいのにな」「こうだったらおもしろい」というのを思いつく限り、列挙します。そして、その中から1つ選び、後の10分では、「どうやってそれを実現するか」を考えます。

 アイデアを出す作業を構造化することで、「未成熟だけれども、斬新度の高いアイデア」を頭から取り出しやすくなります。

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ステップ 実行方法 解説
ステップ1 まず、アイデアについて「what」を出します。 最初の10分で、おもしろい案、理想や希望に近い考えを出します。どうやって実現したらいいのかが分からないような突飛なアイデアも臆(おく)せずに出します。そういうアイデアはつい自分でも否定してしまいますが、「この段階では、実現方法(how)が分からない未成熟なアイデアでも構わない」と考えて、思いついたことをすべて書き出します。
ステップ2 書き出したアイデアから「1つ選び」ます。 ステップ1が終わったら、列挙したアイデアの中から1つ選びます。アイデアを組み合わせたらもっと良いアイデアができる場合は、組み合わせてできる新アイデアを追加しても結構です。そうして得られたアイデアの中から、1つ選びます。選ぶ基準は、魅力度です。そのアイデアが「おもしろい」あるいは「広がる可能性がある」と思える度合いの最も高いものを選びます。大抵、魅力度の高いアイデアは、実現方法(how)がよく分からない未成熟なアイデアです。実現性の高さは、選択の際に気にしないようにします。
ステップ3 次に、アイデアを実現させるための「how」を出します このあとの10分は「○○というアイデア(選んだアイデア)を実現するにはどうすればいいだろうか」というテーマで、アイデア(実現するための方法案)を出していきます。これ自体もブレストで結構です。本当にそれは問題を解決するだろうか、と疑わしいものでも、とりあえずあげます。それがヒントになって、より良い実現方法を思いつきやすくなります。

 人間は、具体的でシンプルな問題があると、発想力を発揮しやすくなります。「how」のテーマは、その特性を利用しているので、大量にアイデアを列挙する中から、十分な実現方法を得ることができます。

 なお、なかなか実現方法が思いつかないときには、発想トリガー(第2章のSCAMPERや智慧カード・リストなど)を使ってください(※)。

※詳しくは『アイデア・スイッチ 次々と発想を生み出す装置』でご確認ください。

 ステップ1と同3は、時間は10分と決めてやります。アイデアを出し尽くしてもまだ時間が余っているなら、粘ってさらに考えます。10分経ってもまだアイデアが出ているようなら、5分程度延長しても構いません。しかし、再終了の時刻を明確に意識していることが大事です。それによって、今は「what」について出しているのだ(あるいは「how」について出しているのだ)という意識が保てます。

 ステップ2のアイデアの選択時に、「どれも捨てがたい」というアイデアが残った場合、3つまでなら残しても結構です。そのアイデアに1〜3の順位をつけて、それぞれについてステップ3を行ないます。

練習問題

 あなたはWeb制作会社で、Webサイトの運用と画面の基本デザインをしています。レストランを経営している顧客から、「自社のリアル店舗の常連さんが毎日見たくなるようなWebサイトを構築したい」と相談を受け、即興のミニ・アイデア会議が始まりました。詳細は自社で検討するとして、まずは、ある程度、おもしろく、かつ実現性のあるアイデアの概要を考え出す必要があります。


発想サンプル

ステップ1

 毎日、午前中の1時間、割引券が画面に現われる

 自社の前の道の渋滞情報を30分単位でアップ

 お勧めのエクササイズ方法が日替わりで紹介される

 リアル店舗の常連さん向けのあいさつビデオを毎日サイトにアップする

 リアル店舗で書いてもらった伝言メモを、自社サイトの掲示板に即時アップ

 お店の込み具合をリアルタイムでサイトに載せる

ステップ2

 常連さんに最も興味をもってもらえそうな魅力的なアイデアを1つ選ぼうと考え、「リアル店舗の常連さん向けのあいさつビデオを毎日サイトにアップする」を選びました。

 「どうやってビデオ制作の手間を減らすか」「常連さん以外の人にもプライベートな呼びかけを見られてしまうことへの対策はどうするか」という心配が考えられますが、気にせずにこのアイデアを採用しました。

ステップ3

発想のテーマ=「リアル店舗の常連さん向けのあいさつビデオを毎日サイトにアップする、というアイデアを実現するにはどうすればいいだろうか」を考えます。

 ビデオは15秒動画にする。14回分(2週間分)を4分で一気に撮る

 毎日、あいさつビデオに出る人を変える

 常連さんごとにIDを付与して、ほかの人にはそのビデオが見られないようにする

 あいさつの練習を新人に行なわせて、その様子をビデオにする

 呼びかけ部分だけ、別撮りした音声を入れて、常連さん10人分の撮影が一度で済むようにする

 音声だけにして、画像なし

 音声だけにして、画像は本日のお勧め料理にする

 携帯動画をあるメールアドレスに送るだけで、自動更新される


 このようにアイデアを出していきます。「毎日、個別の人向けにつくったビデオをアップする」というアイデアは、クライアントにとって一見、非常に面倒です。普通のアイデア出しなら、心の中で却下してしまうかもしれません。しかし、それをあまり面倒でない形で実現する方法は必ずや考えつくはずです。

 普通、店舗の常連ならば、毎日Webサイトを見る必要はありません。アイデア出しを始めた20分前には、まったく常連向けのアイデアなど思いもつきませんでしたが、2段階に分けて、それぞれのステップでするべき発案をしていくことで、魅力的なアイデアがつくれました。また、「これは手間がかかるからダメだ……」と心の中で却下していたら、このアイデアは生まれませんでした。

 このようにステップを分けることで、ブレストの本質を端的に実行できます。ぜひ試してみてください。


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