あなたの“人生の憲法”ともいうべきミッション・ステートメントの作成にあたっては、いくつかのヒントと注意事項があります。8つの「強力なミッション・ステートメントの共通点」も参考にしてみてください。
実りある人生を送っている人々には共通する習慣があった――1996年に発売されて以来、ビジネスパーソンをはじめとする世界中の人々に多くの影響を与えたスティーブン・コヴィーのベストセラー『7つの習慣』。
現代の日本社会に不足がちなリーダーシップを身につけるためには、「リーダーシップとマネジメントの違い」を認識することが第一歩となります。自分はどうありたいのか、何をしたいのか、自分の行動の基礎となる価値観や原則はどういったものなのかを明確に示す「ミッション・ステートメント」の重要性を説く『第二の習慣』から5編をお届けします。
いよいよ、ミッション・ステートメントを作成するときが来ました。あまり難しく考えないでください。ここまで考えてきたこと、書き出してきたことをまとめて一線化すればよいのです。
ミッション・ステートメントを作成するに当たって、いくつかの注意事項、そしてヒントがあります。
ミッション・ステートメントは「粘土と同じである」と表現する人がいます。粘土の塊は、何もしなければただの粘土ですが、形、色や表現、熱を加えることで陶器になります。ミッション・ステートメントも同じです。過去の経験、知恵、アイデア、創造力を、ミッション・ステートメントの作成プロセスに注ぎ込んでいくことが大切なのです。
また、陶器は磨き上げることで輝きを増します。書き上げたミッション・ステートメントは、定期的に静かなところに行って感性を研ぎ澄まし、見直すようにしてください。その折のあなたの心を素直に反映し、新たな要素を加えたり、言い回しを変えたりすることで、体裁が整い、より納得のいくものができ上がることでしょう。「これだ」というものになったとき、あなたはミッション・ステートメントに一層の愛着を持ち、決意を新たにするはずです。あなたが完成させたミッション・ステートメントは、あなたの人生における使命と目標を鮮明に表現した、素晴らしいパートナーとなることでしょう。
ここで、「何事も効率的にこなす」というパラダイムをもった女性の話をしましょう。彼女は当初、ミッション・ステートメントの作成を単なる行為と捉えていたそうです。
私は以前、ミッション・ステートメントを書いたことがあります。書き上げた時は素晴らしいものができたと思いました。しかしそれをファイルしたとたん安心してしまったのです。
それから数カ月、私生活も仕事も順調でした。やがて私は「新しい車が欲しい」「新しい家が欲しい」といろいろなものを欲しがるようになりました。そこで私は、家を建てるという目標を紙に書き出しました。
(彼女は懸命に努力し、家を購入しました)
ある深夜のことでした。私は新築の大きな家の中で、1人座って考えこんでしまいました。「どうして私は幸せではないのだろう?」
私はローンを返しきれば、幸せになれるだろうと思っていました。しかし孤独を感じただけでした。私は幸福は所有物からは得られないことを悟りました。
ちょうどそのとき、書類入れが目に入ったので、それを開いて、ミッション・ステートメントを読み返しました。家を建てようと必死になっていたときは、一度として見直したことはありませんでした。
私は、ミッション・ステートメントが所有物のことに一切触れていないことに気づきました。次のように「私は〜になりたい」という書き方をしていたのです。
「私はよい人間になりたい」
「私はよい模範になりたい」
「私はよい母になりたい」
それを読んでいると、自然に涙が出てきました。私は新築の家の中で、電気を消したまま考え込みました。所有物をすべて見回したときに、自分がなりたいと思っていたものには、何1つなっていないことに気がついたのです。
ミッション・ステートメントの作成方法は、人によって異なります。十人十色といえるでしょう。軽快な音楽を聴きながら書く人もいれば、早朝の海岸で波の音を聴きながら書く人もいるでしょう。書き方に決まりはありません。
また、内容や分量にもルールはありません。最初は支離滅裂な文章かもしれません。2行で終わるものもあれば、2ページに及ぶものもあるでしょう。
大切なことは、とにかく書き出してみること、とにかく作成してみることです。何も思い浮かばないのであれば、「何も思い浮かばない」と書き出してみましょう。どんな形式でも構いませんから、一度作成してみることで、少なからず得るものがあるはずです。
ミッション・ステートメントを書き上げる過程には、自分の人生、生き方を見直す作業が含まれています。自分の人生における優先順位について深く考え、行動と信念を整合させることで、周りの出来事や風潮に支配されない主体性を持つことになるのです。
最初の挑戦で完成に至らなくても、書き上げるプロセスを経たということだけでも大きな意味があります。
以下の8項目をコヴィー博士は「強力なミッション・ステートメントの共通点」として挙げています。
さらに詳しい内容を知りたいという方は、書籍『「7つの習慣」セルフ・スタディ・ブック 第二の習慣』をご覧ください。次回はミッション・ステートメントの考え方を実践した事例として「息子を亡くした父からの手紙――“人生の目覚まし時計”」をご紹介します。
フランクリン・コヴィー・ジャパンは8月20日、管理職向けセミナー「トラスト・リーダーシップ」を開催します。
100年に1度の不況と言われる昨今、多くの企業がリストラや残業の削減を行う中で、企業と社員、上司と部下という関係における“信頼”が低下しています。本セミナーでは、フランクリン・コヴィー・ジャパンの佐藤亙(さとう・わたる)取締役副社長が、リーダーとして結果を出すために必要なチームメンバーとの信頼について、その基本原則と信頼構築のための具体的な手法をお伝えします。
ゲスト講師にはスポーツジャーナリストの二宮清純(にのみや・せいじゅん)氏を迎え、スポーツ界においてチームメンバーとの信頼によりチームを勝利に導いた事例をご紹介しながら、スポーツとビジネスに共通する“信頼”を考えます。
開催概要 | |
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開催日程 | 8月20日(木)9時〜17時 |
対象者 | 管理職、プロジェクトリーダー、成果を望むビジネスパーソン |
会場 | 椿山荘(東京都文京区関口2-10-8) |
受講料 | 2万9400円〜4万2000円(昼食付き)※参加人数、研修導入状況により異なります |
定員 | 300名 |
申し込み方法 | WebサイトまたはFAX 03-3264-7407 にて |
支払方法 | 銀行振込 |
問い合わせ先 | TEL 03-3264-7417 フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社 セールス・プランニング・チーム(月〜金 9時〜17時) |
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