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» 2009年08月27日 11時29分 UPDATE

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:その修羅場、メモしないなんてもったいない――いつか役立つビジネスエッセイのコツ

数十年間のビジネス経験から筆者には面白いエピソードがたくさんある。将来きちんと話せるようにメモしておこうと思ったのがそもそもの動機だった。

[樋口健夫,Business Media 誠]

 営業で訪問していて、客先でさまざまな海外の体験を話す機会はよくある。また、そのように親しく話せることが仕事では大切だ。生活全般のことから、海外の安全のこと、珍体験、驚いたこと、感心したことなどが一杯ある。こんなに面白いことだから、将来きちんと話せるようにメモしておこうというのが、そもそも書き始めた動機だった。

 筆者は、自分の書く文章全体をビジネスエッセイというジャンルとして定義している。「私も、さまざまな体験をエッセイとして書きたいのですが、どのように書けばよいのでしょうか」とビジネスパーソンに聞かれることがある。筆者のアドバイスはこうだ。

 大前提の方針は、まず自分で体験し、見たこと、考えたことを書くこと。背中に字を書くような伝聞は書かない。直接聞いたことも本当かどうか確信を持てなければ、書かないか、最終確認は取れていないと明言する。

 また日頃から、自分自身のさまざまなエピソードを集めたり、思い出したりして、そのタイトルや要旨をアイデアマラソンノートに書き留めること。ノートがなければ、ICレコーダー、メモ帳、ポストイット、名刺の裏、手のひら、割りばし入れ、トイレットペーパー、コースター、新聞の端、タクシーの領収書の裏などにも書く。

どんなタイミングで書くか

 エピソードが起こっている間に書き始めたこともある。いわゆる実況中継だ。顧客とのトラブルなど営業マンとしては修羅場でも「これは面白くなるなあ」と考えていたこともある。ふらちなものだ。最近は文章を書くことで、最悪の自分を慰め、落ち付くことにしている。

 体験したらその現地でディテールをメモしておく。旅行でも出張でも帰ってから書こうとすると迫力が消えてしまう。

 以前、学生時代に2年間留学したオーストラリアや、結婚してすぐに赴任したアフリカでも“執筆条件”に適したエピソードは、もっと一杯あったはず。なのに、忘れてしまっているのは今でも残念だ。

暴露しない、けなさない

 仕事の内幕を暴露することや、自分の会社や仕事をけなしたり、皮肉を言ったり、同僚や上司、部下を非難するようなこと、他人のプライバシーに関しては絶対に書かない。名前を伏せても書かない。「I社の某編集者は、鬼のように厳しいし、蟻のように細かい」などと書いたら、一気にバレる。もちろん顧客関係は論外である。

 インターネット上で書いたテキストは一端公開してしまえば、もう止めることはできない。未来永劫、ネットの世界を漂い続けることになる。PCのローカル上であっても、ウイルスなどに感染して漏れていく可能性もある。もともと悪口は書かないことだ。

 面白いエピソードを拾うには十分な好奇心が必要だ。好奇心が不足すると、面白いエピソードに遭遇する率が低くなる。せっかく目の前で起こっているエピソードを見逃してしまうからだ。好奇心を倍増させるためには、恥ずかしいなんて言っていられない。ヨメサンは、筆者が恥ずかしさをサウジアラビアに砂漠に捨ててきたと思っている。筆者もそう思う。

今回の教訓

いや、書いてますよね――。(鬼)


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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