9月の特集は「ビジネスプリンタ“徹底活用法”」。今回は「今すぐ実践できるコスト削減法」として、用紙やインクトナーの節約テクニックを考えてみたい。
「オフィスでプリンタを使ったことがない」というビジネスパーソンは、ほぼいないと言ってもいいだろう。企業の規模や業種に関わらず、どんな職場でも見つけられるオフィス機器であり、毎日のように使用しているという人も多いはずだ。
誰もがひんぱんに使うものだからこそ、メーカーごとのちょっとした機能の違いや、保守費用などを含めたランニングコストの削減にも気を使いたい。というわけで、9月の特集は「ビジネスプリンタ“徹底活用法”」。ハードとソフトの両面から、プリンタをもっと上手に使いこなす方法を探っていこう。
「プリンタは本体価格と同じくらいランニングコストが重要だというし、最近は消費電力などを抑えた“エコプリンタ”の話もよく聞く。うちの会社もそろそろ新しいプリンタに買い換えたほうが、長期的にはプラスになるんじゃないかなあ」
オフィス機器の導入などを任されている総務担当者の中には、こんな風に考えている人も多いと思う。そこかしこでコスト削減が叫ばれるこのご時世、少しでもお得なプリンタを使いたいと考えるのは当然こと。とは言え、初期費用のことを考えると実際にはそう簡単に新機種を導入できるわけではない。
そこで、特集初回となる今回は「プリンタはそのままに、今すぐ実践できるコスト削減」の方法について考えてみたい。
プリンタでできるコスト削減と言えばまず思いつくのが、無駄な印刷を減らすこと。日本システムディベロップメントの「FinePrint」(6090円)は、プリンタドライバとしてPCにインストールするだけで、プリンタ用紙を節約できるソフトだ。
印刷先としてFinePrintを選ぶと、印刷後の様子をプレビュー画面のように表示できるため、1枚で済むと思った文書がはみだして2枚になってしまうなどの無駄を防げる。プレビュー画面では、印刷する必要がないページを消去したり、両面印刷やNアップ(集約)印刷の設定も簡単に行える仕組みだ。
無償で使えるソフトを探しているという人には、「GreenPrint」をおすすめしたい。こちらもFinePrintと同じくプリンタドライバとして使うソフトで、刷り上がりのイメージをプレビュー表示できる。また、「1枚に2行しか印刷されない場合は印刷しない」などの条件をあらかじめ設定しておけば、プレビュー時に「削除候補」として自動で判断してくれる機能も便利だ。
無駄な印刷はしないように普段から十分心がけているという場合には、インクの使用量を抑えて印刷できる市販ソフトを使うのも1つの手。アクティブウェーブの「エコぷりんと」、TCBテクノロジーの「Toner Cutter」、ジャングルの「節約プリント」、メディアナビの「inksaver」などがあり、いずれも価格帯は2000〜8000円程度だ。
スタンプやアイコン、ウォーターマーク(透かし印刷)などを文書に追加できたり、ネットワークプリンタに対応しているかどうかで価格が変わってくるが、基本的には1%〜75%の範囲でインク使用量を調節できるソフトが多い。一度設定しさえすれば、指定したプリンタからは常に同じ濃度で印刷できるのも共通点だ。
また、inksaverの最新版のように節約した金額を表示して、目標額を達成すると祝ってくれる――なんていうソフトもある。チーム単位でソフトを導入する場合などには、ただ単に「インクを節約しましょう」と呼びかけるよりも、「○カ月で○円節約しましょう」と数値目標を立てた方がコスト削減につなげられるだろう。
以前、企業が取り組むエコ特集で取り上げて、反響を呼んだ「裏紙を使うとプリンタは壊れてしまうのか?」という問題。取材した各メーカーの答えをまとめると、「機種にもよるが、少なくとも両面機でない場合は使わない方が無難」というのが実際のところのようだ。どのメーカーも、「裏紙を使うよりは、両面印刷やNアップ印刷を使ってそもそもの印刷枚数を減らす」ことをおすすめしているという。
しかし現実には、「用紙の節約になるのは分かっているけど、設定が面倒くさくてついつい通常設定で印刷してしまう」という人がほとんどのはず。印刷量が多くなる職種などで、本気でコスト削減を考えているならば、やはり自動で両面印刷ができるように設定を変更しておくのがいい。また、利用者1人当たり5万円程度とやや高価ではあるが、文書内のキーワードを検知して印刷設定を自動切り替えしてくれるソフトなども、知っておいて損はない。
印刷量やインク使用量を抑えたコスト削減は、プリンタドライバの設定やソフトウェアを使った「自動化」がカギ。まずは無償のソフトや低価格のパッケージ製品から試してみて、業種や働き方に合ったものを探してみるといいだろう。
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